Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

小説・戯曲・ノンフィクション

日本のいちばん長い日

決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫) [文庫]著者:半藤一利評価:B+【評】必殺・御前会議×御聖断で、一気に戦争終結へ邁進した日本のいちばん長い日を一時間ごとに見ていく。戦争を終わらせたキーパーソン、鈴木貫太郎、昭和天皇、そして阿南惟幾。閣僚…

命売ります

命売ります (ちくま文庫) [文庫]著者:三島由紀夫評価:B【評】ハード・ボイルドでナンセンスなユッキーをどうぞ。すると読もうとする活字がみんなゴキブリになってしまう。読もうとすると、その活字が、いやにテラテラした赤黒い背中を見せて逃げてしまう。…

陽だまりの彼女

陽だまりの彼女 (新潮文庫) [文庫]著者:越谷オサム評価:B【評】衝撃の老衰系ヒロイン。本書の感想は、p.342解説の「ベタ甘な~」の一文に代弁してもらおう。

井筒俊彦 叡智の哲学

井筒俊彦―叡知の哲学 [単行本]著者:若松英輔評価:B+【評】井筒の著書を手がかりに、彼の生涯、思想を読み解く。ガンガン挿入される引用からは、著者が膨大な資料を渉猟したことを窺える。マシニョン、諸井慶徳、大川周明などたくさんの先人たちを紹介。井…

空海の風景

空海の風景〈上〉 (中公文庫) [文庫]著者:司馬遼太郎評価:B【評】さて、『空海の風景』のことである。けれん味あふれる空海の生涯を、小説とも随筆ともいえぬ語り口で描き出す。 ひるがえっていえば、それが司馬遼太郎的文体ということなのであろう。この…

真夏の死

真夏の死―自選短編集 (新潮文庫) [文庫]著者:三島由紀夫評価:B【評】身に降りかかる不幸、その反応の経時変化を追う表題作ほか10編。はやく夏がすぎればいいと朝子は思った。夏という言葉そのものが、死と糜爛の聯想を伴っていた。かがやかしい晩夏の光に…

国家の罠

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫) [文庫]著者:佐藤優 評価:B+【評】「国家の罠」に絡め取られたインテリジェンスの512日間。国益に叶うと信じて行動したサトウとスズキ。進展したかに見えた北方領土問題に、緊張高まる外務省に、眞紀子…

塩狩峠

塩狩峠 (新潮文庫) [文庫] 著者:三浦綾子 評価:B+【評】 信夫はこん身の力をふるってハンドルを回した。 だが、なんとしてもそれ以上客車の速度は落ちなかった。 みるみるカーブが信夫に迫ってくる。 再び暴走すれば、転覆は必至だ。 次々に急勾配カーブが…

ハーモニー

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA) [文庫]著者:伊藤計劃評価:B+【評】WatchMeなる恒常的体内監視システムが導入され、「自分を律することの大半は、今や外注に出され」た高度福祉社会が訪れた近未来。「我らの世代は、お互いが慈しみ、支え合い、ハーモ…

虐殺器官

虐殺器官〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA) [文庫]著者:伊藤計劃評価:B+【評】夭折作家が送り込んだアメリカンな近未来SF。「せにゃ」など洋画風なセリフも。1ページ目からはじまるグロ目の描写、それを淡々と見つめる主人公の視線。ナノレイヤー人工筋肉などの妙…

ソニー自叙伝

ソニー自叙伝 (ワック文庫) [新書]著者:ソニー広報部評価:B【評】ソニーの歴史というよりも製品開発史然としておる。テープレコーダー、トランジスタラジオ、ハンディカム、ウォークマンプレイステーション製品群の話はいいから、もっと井深・盛田の創業メ…

そうか、もう君はいないのか

そうか、もう君はいないのか (新潮文庫) [文庫]著者:城山三郎評価:B【評】妻といた日々。体言止めが多い。「天から妖精が落ちて来た感じ」、とシロサブの意外な一面も垣間見られる。娘の文章や、児玉清の解説も涙を誘うぞ。

近代能楽集

近代能楽集 (新潮文庫) [文庫]著者:三島由紀夫評価:B【評】ユキオが能のココロを筆に乗せた。曰く、「能楽の自由な空間と時間の処理や、露わな形而上学的主題などを、そのまま現代に生かすために、シテュエーションの方を現代化した」。マダム(巨大である…

青春と変態

青春と変態 (ちくま文庫) [文庫]著者:会田誠評価:B【評】日記風の覗き遍歴。経験に基づいているか知らないけど、時効だから大丈夫だよね。変態の青春。それはトイレ覗きの青春。トイレ覗きという背徳のなかに、ひとすじの甘酸っぱさ・苦さを感じたとき、青…

調理場という戦場

調理場という戦場―「コート・ドール」斉須政雄の仕事論 (幻冬舎文庫) [文庫]著者:斉須政雄評価:B【評】料理人のモーレツな戦記もとい半生伝。フランスの6つの店で武者修行。 語りかけるような文体でよみやすい。若い人への厳しくもあたたかい視線が不愉快…

宴のあと

宴のあと (新潮文庫) [文庫]著者:三島由紀夫評価:B+【評】熟年夫婦の宴がはじまり、おわる。かづと野口、対照的なふたりが、老いらくの恋に見舞われ、やがて政治的立場の違い、性格の違いによって破局を迎えるまでを描くぞい。政治的しがらみがなければ、…

豊饒の海

春の雪―豊饒の海・第一巻 (新潮文庫) [ペーパーバック] 著者:三島由紀夫評価:A【評】 十三歳の清顕は美しすぎた。 ほかの侍童と比べても、清顕の美しさは、どんなひいき目もなしに、際立っていた。 色白の頬が上気してほのかに紅をさしたように見え、眉は…

竹取物語

竹取物語 (岩波文庫) [文庫]校訂:阪倉篤義評価:B+【評】岩波文庫にしては註が親切。貴公子たちの撃退、オキナとの掛け合い、「衣着せつる人は、こころ異になるなりといふ。物一こと言ひをくべき事ありけり」の別れ。五人の貴公子それぞれにオチがあってよ…

項羽と劉邦

項羽と劉邦 (上) (新潮文庫) [文庫]著者:司馬遼太郎評価:A【評】「鴻門の会」「背水の陣」「四面楚歌」などでおなじみ、両雄と群雄たちの、蜥蜴が龍になるまでの物語。天下を治める人望とめしの重要さを、俠とアジア的個のすがたを、学び取れ。シヴァお得…

チェ・ゲバラ伝

チェ・ゲバラ伝 [単行本]著者:三好徹評価:B+【評】理想に生き、理想に死す―――それは人の夢。スポーツ万能・頭脳明晰なチート革命児ゲバラの生き方がまさにそれだ。外国資本による収奪、腐敗・怠惰に染まったラテンアメリカの姿に憤激した彼は、メキシコで…

官僚たちの夏

官僚たちの夏 (新潮文庫) [文庫]著者:城山三郎評価:B【評】時あたかも高度成長期の時代。日本を動かすモーレツな男たちが通産省にいた。「ぼくのかんがえたさいきょうの人事」の実現を夢見るおやじさんと、いろんなタイプの官僚たちの群像劇。そのなかでも…

暗夜行路

暗夜行路 (新潮文庫) [文庫]著者:志賀直哉評価:B+【評】悶々とした日々を送る高等遊民的青年・時任謙作が、自己の出生の秘密、妻の不貞に苦悩し、己の内でそれらを消化(昇華)するまで。或る処で諦める事で平安を得たくない。諦めず、捨てず、何時までも…

山椒大夫・高瀬舟

山椒大夫・高瀬舟 (新潮文庫) [文庫]著者:森鷗外評価:B【粗評】漱石とはまた違った孤高の近代人の苦悩が窺える。表題作二作はもちろん、『妄想』もイカしてる。独語・仏語などやたらと外国語が踊るぞい。

新美南吉童話集

新美南吉童話集 (岩波文庫) [文庫]著者:新美南吉 編:千葉俊二評価:B+【粗評】夭折度120%の南吉。『ごん狐』『手袋を買いに』を含む14作品を収録。どうやら南吉、狐がすきらしい。派手さはないがじんわりと胸に迫ってくるものがある。方言が演出する登場人…

吾輩は猫である

吾輩は猫である (角川文庫) [文庫]著者:夏目漱石評価:A【粗評】吾輩は猫である。名前はまだない。苦沙弥先生の臥竜窟に集った「太平の逸民」たちの会合を、人間世界の日常を、猫の日常を、「猫の目玉のようにぐるぐる回転する」外発的な開化に苦悩する明治…

小僧の神様

小僧の神様―他十篇 (岩波文庫) [文庫]著者:志賀直哉評価:B+【粗評】小説の神様が小僧の神様を書いた。静謐な涼やかな掌説を読みたいキミに。『清兵衛と瓢箪』や『城の崎にて』あたりは有名か。なお本作が割合好評だったため、『暗夜行路』への遠征が閣議決…

台所太平記

台所太平記 (中公文庫) [文庫]著者:谷崎潤一郎評価:B【粗評】谷崎最晩年の作。著者がモデルと思われる主人公・磊吉と、彼をとりまく数多の「女中」たちの性格や言動のあれやこれやを、おもしろおかしく描く。ほのかな官能。解説がよくわかってる。

ふぉん・しいほるとの娘

ふぉん・しいほるとの娘〈上〉 (新潮文庫) [文庫]著者:吉村昭評価:B【粗評】アキラ史上最長クラスの長編。厚い。長崎の夏よりも厚い。お滝さん-お稲さん-高子さんの薄幸女三代(比率 1.95 : 8.00 : 0.05)と、彼女たちを翻弄した時代を詳細なデータを交え…

楽園追放―Expelled from Paradise―

楽園追放―Expelled from Paradise― (ハヤカワ文庫JA) [文庫]脚本:虚淵玄 著者:八杉将司 評価:B【粗評】映画の最後の方が気になったので。映画では描かれなかった会話や設定、場面、心理の追加・補完ができるぞ。具体的には、・アンジェラの過去・モブ子と…

ふたりの「雅子」

ふたりの「雅子」 [単行本]著者:小達スエ評価:B+【粗評】二十七年間が、長かったとか短かったとか、考えるのはもうやめよう。女優・夏目雅子は外目にはあくまで華やかだった。しかし現実の彼女は、ごくふつうの若い娘と少しも変わらなかった、恋の喜び、哀…