Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

12人の怒れる男

十二人の怒れる男 (日本語字幕版)

【概要】
著者(監督):シドニー・ルメット

古典的名作。陪審員として集まった12人の男たちが有罪か無罪かを決めるべくデデデディスカッションする。知らない者同士でこれまた知らない者の生死を決めるという(考えてみれば)奇妙な状況の中、一人の男が議論不十分なまま死刑を与えることに独り抵抗する。多数決でなく全会一致が原則なので闘う価値がある。すぐに安易な結論に飛びつかない知性と勇気を見習いたいところ。

おっさんが蒸し暑そうな部屋で議論を戦わせたりゴネたりしているだけ、という設定や場面だけ見ると退屈になりそうだが、観客の興味を持続させるのが巧み。気づけばサスペンス要素もあり目が離せなくなっている。

it's possible🆚waste of timeの闘いが展開されるが、彼が冷静に各人の良心に訴えかけて、あるいは証言の矛盾を指摘していく。票決を取るたびに味方がふえるね、てな感じで有罪派が陥落していくのが面白い。当初は無罪派の孤軍奮闘だった会議室の流れがだんだん変わっていき、いつしか無罪派が過半数を超える。しかし闘いは全会一致になるまで終わらない。頑強な反対派を屈服させていくところも見どころ。最後の彼が息子の写真を見てnot guilty宣言で陥ちた後、各々が何事もなかったように元の世界に戻っていくラストが芸術的。

 

【詳細】

<メモ>

  • 議論を仕切る者、みんなを見て手を上げる者、話に割り込む者、関係ない話や雑談をする者、弱気な者、強気な者、感情的な者、論理的な者、偉そうな者、営業トークを始める者、3x3の○✖️ゲームを始める者、ナイターが気になってしょうがない者…各種性格の類型や人間模様が面白い。全員中年以上のオッさんなのだが、しっかりキャラ立ちしているのがすごい。
  • 議論の進め方、反対意見の者を説得する方法、あるいは孤立させる方法など、ディスカッションの進め方が参考になるかもしれない。
  • 会話や議論は生き物であり、流れを変えて仲間を増やすべし。証言の食い違い指摘で流れの変化がさらに加速。無記名投票だと結果が変わったりするのも面白い。  
  • 証言を思い込みで信じるのではなく、矛盾を指摘していく実証的な姿勢(騒音、歩行時間、刺し傷、映画の題名、目撃者の視力、etc...)。
  • 怒鳴ったり感情的になったら負け。