Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

井筒俊彦 叡智の哲学

著者:若松英輔
評価:B+

【評】
井筒の著書を手がかりに、彼の生涯、思想を読み解く。
ガンガン挿入される引用からは、著者が膨大な資料を渉猟したことを窺える。
マシニョン、諸井慶徳、大川周明などたくさんの先人たちを紹介。井筒をとりまく世界に彩りと深みを加える。

「存在はコトバである」、この一節に井筒俊彦の哲学は収斂される。

「表層意識において理性が作り上げる言語哲学とは全然異質の、深層意識的言語哲学の構築」、それが井筒の悲願だったのである。

「哲学」における根源的主語は超越的実在であり、人間は論理を展開するに過ぎないという認識において、井筒はまた神知学者的血脈を継承している。

綿々と続けられた人類の営みを、井筒俊彦は「共時的構造化」することで現代に蘇らせようとする。それは無数の「文化」に飛散した「東洋」的霊性のイデアの権限を準備することに他ならない。

言葉は「本質」を表現するに留まるが、「コトバ」は絶対無の海から事物を創造的に喚起するというのである。すなわち「コトバ」の秘儀とは「根源的に存在分節の動力」に他ならない。