Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

真夏の死

著者:三島由紀夫
評価:B

【評】
身に降りかかる不幸、その反応の経時変化を追う表題作ほか10編。

はやく夏がすぎればいいと朝子は思った。夏という言葉そのものが、死と糜爛の聯想を伴っていた。かがやかしい晩夏の光には糜爛の火照りがあった。

悔恨は愚行であり、ああもできた、こうも出来たと思い煩うのは詮ないことであるが、それは死者に対する最後の人力の奉仕でもある。われわれは少しでも永いあいだ、死を人間的な事件、人間的な劇の範囲に引き留めておきたいと希うのである。