【概要】
著者(監督):井上ひさし
手紙が織りなす物語…と言えば美しそうな書簡文学を想像するのだが、その中身はクソリプ/ヤリモクおじさんあり、叙述トリックを生かした推理あり、虚偽の自分あり、とバラエティに富んでいる。基本的には地の文がなく手紙のやりとりだけでストーリーが進む。文体や言葉遣いで書き手や読み手を浮かび上がらせるのが著者の面目躍如。太宰的な独白体で書くと戯曲的要素が爆増する。
「赤い手」は無味乾燥な行政文書からドラマを浮かび上がらせ、「ペンフレンド」は女子の北海道旅行の道連れ募集に群がるヤリモク・クソリプおじが出演し、「鍵」は聾唖者には同音異字 「桃」は善意の権力の危うさを寓話的に描く。最後にはエピローグで登場人物が総出演するのが読者サービス。
【詳細】
<目次>
- プロローグ 悪魔
- 葬送歌
- 赤い手
- ペンフレンド
- 第三十番全楽寺
- 隣からの声
- 鍵
- 桃
- シンデレラの死
- 玉の輿
- 里親
- 泥と雪
- エピローグ 人質
<メモ>