【概要】
著者(監督):出口治明
人・本・旅おじさんのはるあき、今度は都市のたどった歴史に着目する。実際にはるあきが行ったことあるのがポイント。都市を知ることはその都市のたどった文化・文明を知ることでもある。都市は、経済・軍事・文化の集積地として、交易や政治の拠点として、イケてる時代もあれば、そうでない時代もあった。自然発生的な面と計画的開発という面もあり、人間の様々な思惑が織り込まれた作品が都市なのかも。
ローマ帝国史、ヨーロッパ・地中海世界史、中央・西アジア史、中国史、インド史など、各国史だけではとらえきれないところに世界史のダイナミズムを感じる。なかでもサマルカンドには、はるあきのこだわりを感じた。「青の都」のゆえんとか、ナヴォイ劇場の話とかね。
トリビアも多し。「パリは燃えているか」や「プリンス・オブ・ウェールズ」の元ネタ、『背教者ユリアヌス』『オリエント急行の殺人』などの関連作品の紹介など。
【詳細】
<目次>
- 第1章 昔も今も永遠の都“ローマ”―古代ローマから続くヨーロッパの憧れと誇り
- 第2章 世界帝国の都“イスタンブル”―古代から一千七百年、この都市はずっと世界の主人公だった
- 第3章 インドを映し出す都“デリー”―長く複雑な歴史と多民族の文化が今も息づく
- 第4章 英雄たちの夢と挫折の都“カイロ”―さまざまな民族が入れ替わり支配者として君臨した
- 第5章 草原に輝く青の都“サマルカンド”―草原の英雄たちが多くの物語を残した中央アジアのオアシス
- 第6章 三人の巨人が完成させた都“北京”―安禄山、クビライ、永楽帝が波瀾万丈の歴史を綴った
- 第7章 まさに現代の世界の都“ニューヨーク”―世界中から移民が流れ込む自由の天地
- 第8章 商人と議会の都“ロンドン”―都市の歴史が国の知恵と富の源になった
- 第9章 欧州にきらめく花の都“パリ”―ヒトラーの権力をもってしても破壊できなかった美しい町
- 第10章 二十世紀を演出した都“ベルリン”―森と川のある片田舎の集落から生まれた
<メモ>
出典が謎だが、こういうランキング面白いよね。本書に出ていなかった都市として挙げるなら、モスクワ、アテネ、アムステルダム、エルサレム、バグダッドとか? イタリアや中国の諸都市も一国で複数都市入れてもいいなら入るだろうか。シンガポールは歴史が浅すぎ、京都や東京だとダイナミズムに乏しい。北アフリカ以外のアフリカ、「発見」される前の南北アメリカ、オーストラリアではちと弱い…。