評価:B+
【概要】
中国やイスラムの歴代帝国はもちろん、インド、ラテンアメリカ、アフリカとやや扱いづらい地域までカバー。個人的にはプロイセンが面白かった。中間層育成と宗教的寛容さが安定した国をつくるという一般解を帰納的に導く。
【詳細】
綺羅星のごとき国々の勃興と滅亡、名君や名宰相の活躍を横目に見ながら、違った視点で書かれた歴史を何度も読むうちに、各事象のつながりが少しずつわかってくる。
各陣営の利害、各事象に対する対応、人・モノ・情報の所在と流れ、地理的要因(インフラ含む)を意識して歴史観を組み立てていこう。
特に近代の欧州情勢は複雑怪奇なので少しずつ解きほぐしていくしかない。
そんなこんなで、中間層育成と宗教的寛容さが安定した国をつくるという一般解を帰納的に導く。
いつの時代であっても経済成長と平和が文化や絵画興隆の母体となるのです。
歴史を見ていくと、どのような政権でも長期に安定するためには、中間層を育てることが一番大切なことでした。ローマ帝国の時代から、市民が二極化すると社会が不安定化することを為政者はよく知っていました。ですから、社会の安定を維持するため、中間層すなわち普通の人々を増やして、頑張ったら上にのし上がれるという夢を、たとえ幻想であっても、特に若者に与えることが何よりも大切だったのです。それがないと社会の安定はあり得ません。クリオーリョの独立運動、プロイセンの誕生と急伸が興味深かった。