【概要】
著者(監督):長沼伸一郎
「直観的方法」の人。投資と貯蓄、乗数効果、ブロックチェーン、そして資本主義の危うさ…などなど。分かりやすいたとえを次々に生み出す手練手管には毎度のことながらおみそれしちゃう。現代社会・経済の「縮退」に関する話は何とも言えない読後感を残した。
【詳細】
<目次>
- 第1章 資本主義はなぜ止まれないのか
- 第2章 農業経済はなぜ敗退するのか
- 第3章 インフレとデフレのメカニズム
- 第4章 貿易はなぜ拡大するのか
- 第5章 ケインズ経済学とは何だったのか
- 第6章 貨幣はなぜ増殖するのか
- 第7章 ドルはなぜ国際経済に君臨したのか
- 第8章 仮想通貨とブロックチェーン
- 第9章 資本主義経済の将来はどこへ向かうのか
<メモ>
- 経済学初心者向けに経済学の大筋を解説する、中程度の入門本として企画された模様。
- 中世ヨーロッパの資本主義抑制システムは後段の問いの答えのヒントになるか。
- Y(国民所得)=C(消費)+I(投資)のたとえはなかなか。超高血圧体質(IがCの1/5程度)なのはわかったよ。
- 農本主義の問題点(需要はほとんど伸びないが供給は中途半端な速度で伸ばせる)とパクス・トクガワ―ナの崩壊。
- イスラム教普及⇒自由経済の発達、ではなく、自由経済の発達⇒イスラム教の開発・普及(道徳的正当性を担保)だったのかも。
- ブロックチェーンのしくみ。
高度な文明とは大量のエネルギーや情報を使うことで、より大きく、より速く、より快適になることだと錯覚してきたのだが、むしろ真の「高い文明」とは、人間の長期的願望が短期的願望によって駆逐されるのをどう防ぎ、社会のコラプサー化をどうやって阻
止するかという、その防壁の体系のことを意味していたのではないか、ということである。
- ⇒「暴走する資本主義をどうやって遅くするか」という本書のテーマにつながる記述。「大きな物語」を共有して意識的に縮退を防がないと世界が崩壊する(?)。より大きく広い高邁な目的のために普遍的な善のために生きるべきなのかもしれない。仏教?