【概要】
著者(監督):田中靖浩
「会計の全体像を、歴史とともに楽しく学べる」。伊)簿記と会計、英)財務会計、米)管理会計とファイナンス、の三本立て。歴史の流れに伴って、時代の中心となる産業が変遷し、資金調達の方法や会計制度が発達していく。簿記や財務三表の解説本というより、会計の「ルールや仕組みが存在することの意味」を大づかみする「会計エンタテインメント」。絵画や音楽などを各章の呼び水として使っているのも面白い。
【詳細】
<目次>
第1部 簿記と会社の誕生
(15世紀イタリア 銀行革命;15世紀イタリア 簿記革命;17世紀オランダ 会社革命)
第2部 財務会計の歴史
(19世紀イギリス 利益革命;20世紀アメリカ 投資家革命;21世紀グローバル 国際革命)
(19世紀アメリカ 標準革命;20世紀アメリカ 管理革命;21世紀アメリカ 価値革命)
<メモ>
- イタリア商人とバンコは商売を成功させ、規模が大きくなったからこそ、「記録を付ける」必要性が生まれたのです。⇒帳簿
- 資金を預かった経営者から、資金を提供した株主に向けて報告(説明accounting)を行うーーここが会計のルーツなのです。
- もっと儲けを「標準化」し、安定的に配当できる方法はないものか?⇒減価償却
- 発生主義の名のもと、どんどん難しく、ややこしくしていった「利益」を久しぶりに家計簿的なものに戻そうとする会計の「原点回帰」がキャッシュ・フロー計算書だということです。
- 製造業で重要なのは「製品1個つくるのにコストがいくらかかっているのか?」。これが計算できないといくらで売っていいのかわかりません。また、売上原価の計算ができないので粗利を出すこともできません。⇒外部報告の財務会計と内部利用の管理会計の2本立て
- 決算書の作成・報告といった“義務の会計”であれば「ルールという正解」がありますが、管理会計という“自由な会計”にはそのような正解がありません。
- B/Sには計上されない資産:人材、ノウハウ、ネットワーク、企業文化・風土…
- 管理会計の例:DuPont公式 ROI(資本利益率:利益/資本)=P(利益率:利益/売上)×T(回転率:売上/資本)
- 「S(Sales)-C(Cost)=P(Profit)」の基本式でいえば、「C」をいかに計算するかで管理会計は100年間ずっと悩んでいます。
★3つの「数字の力」
企業価値志向には「規模から効率」の段階でいったん縮みがちになった経営を、「効率から価値」への転換によって拡大・成長路線に戻そうという意気込みが感じられます。そのためには短期的な売上・利益重視の“古い常識”を捨て、未来の将来キャッシュフローを増やす努力をしなければなりません。
<EDINET>
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