著者:長沼伸一郎
評価:B+
【評】
『直観的』の著者が、
マクロ経済学における難関「動的マクロ均衡理論」に使われている数学に大まかな道筋をつける。
数学適用のフロンティアたる経済学の発展史を振り返る読み物でもある。
経済学、他の科学同様、分析と綜合でミクロに制圧できるかと思いきや、
ケインズ経済学(マクロ)の登場により危うくなる。
が、解析力学のラグランジュアンの考え方を導入し、
「ミクロ的基礎づけによってマクロ理論の体系全体を導き出」すことに一応成功する。
⇒余暇l、賃金w、効用逓減度ρ、利子率rなどを駆使して式の冗長性を上げ、
ラグランジュの未定乗数法を利用し、関係式を得る。ISとLMに対しこれを行う。
話し好きな著者なので天体力学の思想、EUの物語、ラグランジュアンとハミルトニアンの違い、固有値の意味、これらの背後にある思想などのこぼれ話もしてくれるぞ。
基本的に理系脳なのでリケダンリケジョには親和性の高い内容となっている。