Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

人新世の「資本論」

人新世の「資本論」 (集英社新書)

【概要】
著者(監督):斎藤幸平

まず「はじめに」でSDGsの欺瞞を暴く(; ・`д・´)

気候変動の深刻さ、二酸化炭素排出と経済成長のデカップリングの困難さなどをデータ祭りで示した後、マルクスおじさんの晩年の真の思想や理論を復元し、「脱成長コミュニズム」なる思想を提唱する。

化石燃料の前借りと矛盾の転嫁(先送り)でエネルギーや自然環境の収奪にひた走ってきた人類。現在直面している危機は「最悪の事態を避けるためにすべての人類が連帯できるかという試練」であり、「利益優先の経済から脱却して、「使用価値」の生産に重点を置いた経済に転換しなけばならない」。道は険しいけれど…それだけ本気で変われるか(; ・`д・´)

とりあえずもっとのんびりと、実のある世界にしたいところですな。

 

【詳細】
<目次>

  • はじめに――SDGsは「大衆のアヘン」である!
  • 第1章:気候変動と帝国的生活様式…気候変動が文明を危機に/フロンティアの消滅―市場と環境の二重の限界にぶつかる資本主義
  • 第2章:気候ケインズ主義の限界…二酸化炭素排出と経済成長は切り離せない
  • 第3章:資本主義システムでの脱成長を撃つ…なぜ資本主義では脱成長は不可能なのか
  • 第4章:「人新世」のマルクス…地球を〈コモン〉として管理する/〈コモン〉を再建するためのコミュニズム/新解釈! 進歩史観を捨てた晩年のマルクス
  • 第5章:加速主義という現実逃避…生産力至上主義が生んだ幻想/資本の「包摂」によって無力になる私たち
  • 第6章:欠乏の資本主義、潤沢なコミュニズム…貧しさの原因は資本主義
  • 第7章:脱成長コミュニズムが世界を救う…コロナ禍も「人新世」の産物/脱成長コミュニズムとは何か
  • 第8章 気候正義という「梃子」…グローバル・サウスから世界へ
  • おわりに――歴史を終わらせないために


<メモ>

www.sbbit.jp

 

共産党宣言』がいくらわかりやすいからといって、それだけでは、やはりマルクスの理論を理解したことにはならない。

 ⇒晩期マルクスの思索から、人新世の環境危機を生き延びるヒントを学び取れ(; ・`д・´)

 

政府や企業がSDGsの行動指針をいくつかなぞったところで、気候変動は止められないのだ。SDGsはアリバイ作りのようなものであり、目下の危機から目を背けさせる効果しかない。

(中略)

SDGsはまさに現代版「大衆のアヘン」である。
アヘンに逃げ込むことなく、直視しなくてはならない現実は、私たち人間が地球のあり方を取り返しのつかないほど大きく変えてしまっているということだ。 

(; ・`д・´)

 

グローバル・サウスからの労働力の搾取と自然資源の収奪なしに、私たちの豊かな生活は不可能だからである。

グローバル化によって被害を受ける領域ならびにその住民。

 

資本主義の歴史を振り返れば、国家や大企業が十分な規模の気候変動対策を打ち出す見込みは薄い。解決策の代わりに資本主義が提供してきたのは、収奪と負荷の外部化・転嫁ばかりなのだ。矛盾をどこか遠いところへと転嫁し、問題解決の先送りを繰り返してきたのである。

  • 技術的転嫁──生態系の攪乱
  • 空間的転嫁──外部化と生態学帝国主義
  • 時間的転嫁──「大洪水よ、我が亡き後に来たれ!」

 

これまでロックストロームは、ほかの多くの研究者たちと同様、地球の限界に配慮する「緑の経済成長」を実現すれば、気温上昇1.5℃未満という目標が達成可能であるという想定をもとに、議論を続けていた。
しかし、ついに、その立場を捨て、自己批判したのだ。つまり、経済成長か、気温上昇1.5℃未満の目標か、どちらか一方しか選択できないことを公に認めたのである。少し専門的な言葉を使えば、経済成長と環境負荷の「デカップリング」が、現実には極めて困難であるとロックストロームは判断したのだ。

※デカップリング:切り離し。「通常、<経済成長>によって<環境負荷>は増大する。そのように今まで連動して増大してきたものを、新しい技術によって切り離そうとするのが、デカップリングだ。つまり、経済が成長しても、環境負荷が大きくならない方法を探るのである。気候変動についていえば、新技術によって、経済成長を維持しながら、二酸化炭素排出量を減らすことを目指すのだ」。

 

kurukura.jp

気候危機は真にグローバルな危機である。周辺部に転嫁できる公害とは違って、究極的には、先進国であれ、この破壊的帰結から逃れることはできない。だとすれば、ここにあるのは、最悪の事態を避けるためにすべての人類が連帯できるかという試練である。

 

気候危機をもたらしたのは何を隠そう資本主義の跋扈である。

無限の経済成長を目指す資本主義に、今、ここで本気で対峙しなくてはならない。私たちの手で資本主義を止めなければ、人類の歴史が終わる。

どうする!?(; ・`д・´)

 

 

ヒントをマルクス最晩年の思索に求める。

要するに、進歩史観を指てたマルクスは、共同体の持続可能性と定常型経済の原理を、自らの変革論に取り入れることができた。その結果、コミュニズムの理念は、「生産力至上主義」とも「エコ社会主義」とも、まったく違ったものに転化したのだ。それが、最晩年に到達した「脱成長コミュニズム」である。

「人新世」の危機に立ち向かうため、最晩年のマルクスの資本主義批判の洞察をより発展させ、未完の『資本論』を「脱成長コミュニズム」の理論化として引き継ぐような、大胆な新解釈に今こそ挑まなくてはならないのだ。

 

こうして、人々は、理想の姿、夢、憧れを得ようと、モノを絶えず購入するために労働へと駆り立てられ、また消費する。その過程に終わりはない。消費主義社会は、商品が約束する理想が失敗することを織り込むことによってのみ、人々を絶えざる消費に駆り立てることができる。「満たされない」という希少性の感覚こそが、資本主義の原動力なのである。だが、それでは、人々は一向に幸せになれない。

(中略)

果たして、この悪循環から逃れる道はないのだろうか。悪循環は希少性のせいである。だから、資本主義の人工的希少性に抗する、潤沢な社会を創造する必要がある。それがマルクスの脱成長コミュニズムなのだ。

商品としての「価値」を重視し、「使用価値」(有用性)を蔑ろにする資本主義では、こうしたことが常に起こる。それでは野蛮状態に陥ってしまう。だから、資本主義に決別して「使用価値」を重視する社会に移行しなければならない。

 

つまり、晩年のエコロジー・共同体研究の意義をしっかりと押さえることではじめて、浮かび上がってくる『資本論』に秘められた真の構想があるのだ。そして、その真の構想こそが現代で役立つ武器になるのである。
この構想は、大きく五点にまとめられる。「使用価値経済への転換」、「労働時間の短縮」、「画一的な分業の廃止」、「生産過程の民主化」、そして「エッセンシャル・ワークの重視」である。

  • ①使用価値経済への転換…「使用価値」に重きを置いた経済に転換して、大量生産・大量消費から脱却する
  • ②労働時間の短縮…労働時間を短縮して、生活の質を向上させる
  • ③画一的な分業の廃止…画一的な労働をもたらす分業を廃止して、労働の創造性を回復させる
  • ④生産過程の民主化…生産のプロセスの民主化を進めて、経済を減速させる
  • ⑤エッセンシャル・ワークの重視…使用価値経済に転換し、労働集約型のエッセンシャル・ワークの重視を

 

「脱成長コミュニズム」の具体的な形はまだ不定だが、社会の構成員みなの精神構造の転換が必要なのは間違いない(; ・`д・´)

ワーカーズ・コープでもいい、学校ストライキでもいい、有機農業でもいい。地方自治体の議員を目指すのだっていい。環境NGOで活動するのも大切だ。仲間と市民電力を始めてもいい。もちろん、今所属している企業に厳しい環境対策を求めるのも、大きな一歩となる。労働時間の短縮や生産の民主化を実現するなら、労働組合しかない。
そのうえで、気候非常事態宣言に向けて署名活動もすべきだし、富裕層への負担を求める運動を展開していく必要もある。そうやって、相互扶助のネットワークを発展させ、強靱なものに鍛え上げていこう。

 

そろそろ、はっきりとしたNOを突きつけるときだ。冷笑主義を捨て、99%の力を見せつけてやろう。そのためには、まず3.5%が、今この瞬間から動き出すのが鍵である。その動きが、大きなうねりとなれば、資本の力は制限され、民主主義は刷新され、脱炭素社会も実現されるに違いない。

夢物語を実現するのか、滅びるのか(; ・`д・´)

70億人それぞれの行動にかかっているぞ。

 

・保育園の自主経営

news.yahoo.co.jp


・フィアレス・シティ(バルセロナ市政など)

http://www.smf.gr.jp/data/pdf/ep2019k2yamamoto.pdf

 

www.researchgate.net

 

  • 大学生協で本書がけっこう売れていることに希望を感じる。

www.univcoop.or.jp

 

<その他リンク>

javalousty.hatenablog.com

 

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