Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

ビザンツ帝国 千年の興亡と皇帝たち

ビザンツ帝国-千年の興亡と皇帝たち (中公新書)

【概要】
著者(監督):中谷功治

東地中海にしぶとく居座ったことでおなじみ東ローマ帝国もといビザンツ帝国。もっともその特徴が表れたといえる7-12世紀の帝国中期について著者が語る。
領土を大局的に見れば縮小しながらも15世紀まで一応生きながらえたのは、その融通無碍さやイメージ戦略によるものなのかも。ただ、登場する皇帝が多すぎて浅く広くになっているような印象も。各時代ごとに1-2名に絞って紹介したほうがよかったかもしれない。

 

【詳細】
<目次>
序章 ビザンツ世界形成への序曲―四~六世紀
第1章 ヘラクレイオス朝の皇帝とビザンツ世界―七世紀
第2章 イコノクラスムと皇妃コンクール―八世紀
第3章 改革者皇帝ニケフォロス一世とテマ制―九世紀
第4章 文人皇帝コンスタンティノス七世と貴族勢力―一〇世紀
第5章 あこがれのメガロポリスと歴史家プセルロス―一一世紀
第6章 戦う皇帝アレクシオス一世と十字軍の到来―一二世紀
終章 ビザンツ世界の残照―一三世紀後半~一五世紀

 

<メモ>

  • いつも国内外のゴタゴタ祭りの中で平和な時代のほぼなかったビザンツ帝国。摘眼刑や戦死の多さには笑ってしまう(笑)
  • イコノクラスムや大シスマに見るキリスト教世界での主導権争い、テマ制の導入による封建化の進展、周辺国の成長に伴う縮小・弱体化など、いろいろなイベントを乗り越えて滅亡に至った。約千年に亘る歴史の中で、欧州や西アジア・アフリカの歴史や文化に影響を与えたことは間違いない。
  • 『秘史』で言い尽くされているユスティニアヌスへの悪態のかぎり。資料を中立的・批判的に読むことの重要性を教えてくれるぞい。

 

一つだけタイムリーに主張したいことがある。それはビザンツの歴史は輝かしい栄光に彩られていたというよりは、領土的にはたび重なる縮小を経験しつつも時代ごとの状況に柔軟に適合しつつ、それでいて一本筋を通して数世紀にわたり生き残った、という点である。

 

13世紀以降の帝国( ˘ω˘ )

かつての帝国の栄光が次々と剥ぎ取られるなか、この国に残されたものは静寂主義(ヘシュカズム)により神秘的な色彩を深めつつ、西方カトリックとの教会統合を断固拒絶する修道士の勢力と、はるか太古より連綿と継承されてきたプラトン哲学をはじめとする古典学芸の伝統、そして洗練の度を増して輝きを放つモザイクやフレスコ画などの技能であった。

 

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