【概要】
著者(監督):柿崎一郎
来ておるぞい。(๑╹ω╹๑ )
隣国(ベトナム、ビルマの大マンダラ)や大国間のパワーバランスの調整に励んできたタイ国。
近代では英国の緩衝地帯として有名だが、世界史ではだいたいベトナムとミャンマーの間のビミョーな中規模国でもあった。敬遠されがちな東南アジア史の一端をうかがい知れる(が、なんとなくの流れだけで結局固有名詞は覚えられない)。
山田長政やアユタヤでおなじみの近世以降ぐらいは知っといてもいいかも。
【詳細】
<目次>
- 序章 歴史への誘い
- 第1章 タイ族国家の勃興 - 古代~16世紀後半
- 第2章 マンダラ型国家の隆盛 - 16世紀末~19世紀前半
- 第3章 領域国家の形成 - 開国~不平等条約の改正
- 第4章 シャムからタイへ - 立憲革命~第二次世界大戦
- 第5章 国民国家の強化 - 戦後復興期~1980年代
- 第6章 「先進国」をめざして - 1990年代~
- 終章 試練を越えて
<メモ>
実はタイの歴史を辿っていくと、「世渡り上手」なタイの姿が見えてくる。山田長政がアユッタヤーで活躍した理由は、タイ人であろうと外国人であろうと能力のある人物を登用する伝統がアユッタヤー時代から存在したためである。独立を維持できた理由は、タイに関心を示す列強の勢力を極力拮抗させて、一国がタイ国内で権益を持ちすぎないように調整したバランス外交の成果であり、その過程では領土の割譲というパイを行使して、身を小さくしてでも国を守ろうとした。
さらに、第二次世界大戦ではタイは日本の「同盟国」となったものの、括弧付きの「同盟」であったことから戦後に日本と同じような敗戦国としての扱いを受けずに済んだ。その後も、西側陣営の一員としてアメリカや日本からの国際協力も利用しながら順調な経済発展を遂げて、東南アジアの「優等生」としてのタイの姿にいたるのである。
ほかにも「マンダラ型国家」というインドシナ半島特有の用語や、軍のクーデターの意義とか国王の調停パワーとか。マプタプット工業港の話もちょろっと出るぞ。