Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

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ビジネスマンの父より息子への30通の手紙

ビジネスマンの父より息子への30通の手紙 新潮文庫

【概要】
著者(監督):キングスレイ・ウォード 城山三郎 訳

アメリカンな努力家のパパから息子への手紙30通。知性と愛とおちゃめさが練りこまれており、ビジネス書というよりは書簡文学として読んだ方が有意義であろう。手紙のつかず離れずの距離感がいいかも。努力や学業の継続をたびたび推している点がすばらしい!

 

【詳細】
<目次>

  • 実社会に出発する君へ
  • あえて挑戦を(第一通):名門私立大学に合格したが気おくれし、やっていけるだろうかと迷っている君へ。
  • 教育の設計(第二通):いつ、何を、どう勉強すれば、充実するのか、将来に備えて。
  • 成功について(第三通):父親にはかなわない? いずれ父親を振り回すようになるのに。
  • 惰性的な生き方には(第四通):「ミソサザイの翼で鷲のように飛ぶ」ことはできない。下降する成績に歯止めを。
  • 実社会での最初の日々(第五通):いよいよ実業界に足を踏み入れたが、一抹の不安を感じないではいられない君に。
  • 誠実さの代価(第六通):ビジネスで最も重要なルールは君が真実を語らなかったと、決して人に言われないことだ。
  • 「企業家」とは何か?(第七通):冒険心と自信。危険への備えはどうするのか。
  • 経験の重みに代えて(第八通):新たに販売部長に就任した君。経験が基本条件の部署だが、しかし君にはそれがない。
  • 部下との衝突(第九通):衝突で何を得、何を失ったか。回避の道はなかったか。
  • 共同事業への誘惑(第十通):一攫千金のうまい話にさめた目、さめた手段を。
  • 結婚を気軽に考えないで(第十一通):結婚という投資による損益は大きい。よき妻の条件とは。
  • 事業を拡大する上で重要なこと(第十二通):事業を大幅に拡大するについて、二、三の大きな問題点を見落としていないか?
  • 金銭感覚はどうなっているのか(第十三通):高額の勘定書が会社に回されてくる。いささか不安を感じて一つ尋ねたい。
  • 講演は自信を持って(第十四通):母校の講演を引き受けたものの、大勢の前で話す場面を想像し愕然としている君に。
  • 礼儀正しさにまさる攻撃力はない(第十五通):仕事仲間に誇りをもって紹介できる社員とは、どんな人物なのか?
  • 銀行融資をとりつけるには(第十六通):実業家は銀行の有難味をよく忘れる。君も目的に夢中で、銀行を過小評価していないか?
  • 政府の検査官について(第十七通):恐れることはない。政府は私たちの事業を助けるためにあり、実際に助けてくれるはずだ。
  • 多角経営は会社を安定させるか(第十八通):会社は一つの分野だけの経営の方が強いのではないかと、多角化の根拠を尋ねる君へ。
  • 読書の価値(第十九通):「一冊の本しか読まない人に気をつけよう」これ以上付け加える必要があるだろうか。
  • 効率的な管理とは何か?(第二十通):それは部下とのチームワークである。が、活用されることの少ない方法の一つでもある。
  • 人生の幸福とは(第二十一通):「人生の『真』の幸福はどのようにして手に入れるのか?」と問いかける君に。
  • 社員を解雇するとき(第二十二通):気の重い神経の疲れる任務だが、それもまた、経営を向上させるうえでの大切な仕事だ。
  • 友情は手入れしよう(第二十三通):仕事では何人かの友人ができた。が、昔の友だちに会う機会がないと悩む君に。
  • 批判は効果的に(第二十四通):人はそれぞれ性格や性癖が違う。思慮深い批判を与える人は決してこの事実を忘れない。
  • 自分の財布の管理も計画的に(第二十五通):「予期せぬ請求書」のために、個人的な借金を申しこんできた君に、一言いう。
  • 常に備えよ(第二十六通):最近の経営不振から、会社は将来まで耐えぬけるだけの準備があるかと動揺している君へ。
  • ストレスと健康(第二十七通):君に最も適した、くつろいだ状態になるために……
  • 優れた指導者の条件(第二十八通):業界団体の会長に推されたが、35歳ではその地位は務まらないと思っている君に。
  • 生活のバランスを保とう(第二十九通):社長に任命されて以来仕事に精勤する君に。仕事と同等に大切なものもあるのでは……
  • あとは君に任せる(第三十通):君は後継者になった。もう君の仕事に口を出すつもりはない。私の人生を楽しむだけだ。

 

<メモ>

  • まさかのシロサブ訳。曰く、「一種の教養小説としても読めた」。
  • 「きみの守護天使より」などの愛とユーモアあふれる表現がカッコいい。
  • 誇らしさのあまりベストのボタンが弾け飛ぶ、という表現おもろいね。
  • 友情の話、『英語標準問題精講』にも載ってたよね。

 

著者は二度こわたる心臓の大手術を受け、近づく死神の顔を見た。
生きているうちにこれだけは息子に伝えておかねば、という切迫した気持。
財産や事業など残すより、いちばん大切なのは、一生の経験から学んだ人生の知恵やノウハウの集積である。これだけはぜひ息子に伝えておきたい、と。
そうした思いで書かれただけに、率直であり、周到であり、この上なく心がこもっていて胸を打つ。

 

君の父親であったおかげで、すばらしい人生だった。(私の墓石にそう刻んでくれてもいい)
愛をこめて。
                       父さんより

 

やっぱり「勇ましい高尚なる生涯」を遺すことが最上なのかもしれない。

javalousty.hatenablog.com

 

●ためになるお話

引用が多くなったのはただひとつ単純な理由による。人生の悩みや喜び、あるいは常識のほとんどは、私よりもはるかに偉大な人びとによって熟考され、私の思想や見解の多くはすでに私の思考力や筆力では及びもつかないほど明快に書き表されているからである。そういうわけで、私は自分の言おうとすることの説得力を増すために、あるいはそれを強調するために、あるいはその意味を明確にするために、偉大な人びとの言葉を遠慮なく拝借した。

 

君がこの、あるいはほかの、人生の挑戦にどのように応じようと、私はつねに君を信頼している。

                     子煩悩の親父より

 

これまで、学ぶことはもうあまりない、と思ったことは一度もない。人は常に学びながら年を取る。
君の十八歳という年齢で是非ともしなければならないことは、十年後にどんなことをしたいのか、将来のビジョンをもつことである。二十歳から三十歳は、学ぶ期間として、最も重要である。将来の仕事に必要な勉強をこの期間にすませておかないと、最後までしないで終ることが多い。三十歳になれば、君の生活は妻子のものになる。住宅ローン、生活のための仕事。キャリアのための勉強に向ける時間はごくわずかしか残らない。

 

公認会計士試験に落ちたことは、過去二十五年間私の脳裏から去らなかった。その教訓は何か? 努力しなければならないということである。ほかに方法がないからである。精一杯の努力をすれば、たいていのことはかなえられる。しかし競争に勝つのは必ずしも動きの速い人ではない。勝つのは過去の競争から学んで、その教訓を活かす人である。

当たり前が一番むずかしい!(; ・`д・´)

 

あと数年もすれば、君は人生が登り坂の戦いであることを知るだろう。ひとつの課題を完了したと思うまもなく、つぎの課題が迫ってくる。着実に努力を重ねないならば、君の一生の失敗率は高くなるだろう。成功する人と、しない人とを分けるのはこの点である。

 

勝利を得るのはしばしば学びながら時期を待つ人である。アイデアを練りあげてから、綿密な計画を幹部に提出する人である。会社の政策を立て直す必要を感じたとしても、一夜でそれを試みる必要のないことを忘れないで欲しい。

 

互いに自分に言い聞かせようではないか、「熟練した小鳥だけが歌うとしたら、森は静まり返るだろう」と。

⇒経験の空白は経験によってしか埋められない(; ・`д・´)

 

女性は思慮深い男性に弱い。特別の女性が現れたときには、一度だけのデートで終らせたくなかったら、特にこのことを念頭に置くこと。(注■この思慮深さを君の選んだ女性と共に過ごす約五十年の間維持し続けるならば、あらゆることがかなり有利に展開するだろう)。

 

名声と富は、一生のうちのほんの一瞬で終ることもあるが、真実と信用は価値ある人生の支柱である。円満な家庭、健康、真の友人、忠実な社員、真実の愛、あるいは心からの敬意といった窮極的な宝物を金で買えた人はいない。

 

学校を卒業したとたんに学ばなくなる人もいるが、何かをしたい人、あるいはこの世で与えられた時間を有効に使いたいと思う人は、死ぬまで学び続ける。

 

実際にはマナーとは何なのか? ただ、まわりの人びとに対する心遣いではないだろうか。まず「ありがとう」がある。これはおそらく世界中で最も広く用いられる正しいマナーだろう。それには、もうひとつの好ましいマナー「どういたしまして」が自動的に続く。しかし謙虚な言葉遣いはときどき日常のあわただしい会話のなかで、行方不明になる。君が一日に「すみませんが」という回数を社員や電話の交換手、店員、だれにでも、頼みごとをする回数と比較して数えれば、きっと、この言葉の使用
回数を十倍に増やしてもいいと思うだろう。もし実際にそうしたら、結果に注意して欲しい。私の観察では、依頼や指示の始めか終りにただ「恐れ入ります」とか「お願いします」という言葉をつけるだけで、みんな驚くほど快く、しかもすばやく、応じてくれる。

 

ひとりの人間に対する君の純粋な関心を表す親しみのこもった質問は、好ましい印象を与える最も簡単な方法のひとつである。


ガルシアへの書簡

若者に必要なのは机上の学問でも、あれこれの指示でもなく、背骨を真直ぐに伸ばしてやることである。そうすれば信頼に応え、迅速に行動し、精力を集中して、任務を遂行するだろう。

 

聞き手がとりわけ強い関心を示す問題について、意見を求められることほど、人に誇りを感じさせるものはない。自分の判断が尊重されていることがわかるからである。

 

この気の毒な人たちは、困難を解消する真の解毒剤は内部からしか生じないことを、肯定的にせよ、否定的にせよ、困難に対処する態度を決めるうえで、誰もがもっている選択の自由からしか生じないことを、知らないのである。

 

私の推定では、批判に関するかぎり、人生の途上で出会う人のうち、聴く価値があるのは一○パーセント程度だろう。残りの九〇パーセントの人たちの動機は、羨望、悪意、愚かさ、あるいはただの無作法である。当然ながら、君が馬鹿正直に悩めば、それらがみな君の士気を挫くだろう。秘訣は、すぐさま批判者を評価することである。尊敬に値する相手だろうか? と、すぐに自分に聞いてみなければならない。その批判が例の九〇パーセントの人からのものなら、すぐに忘れること。

 

妥当で、善意からだと思われる批判は受け入れるように。悪意のこもった、あるいは不当な批判は、撥ねつけるように。見当違いの批判をする相手を黙って赦すべきではない。

 

君は一生、批判と向き合わなければならないだろう。だから今、若いうちに、対処の仕方を覚えておくといい。

 

かなりの数の百歳以上の人びとについて、調査を行なった。この人たちがどのようにしてそのような輝かしい高齢にまで達したのかを知るためである。意外な結果は何ひとつ得られなかった。ひとつの基本的な原則に行き着いただけである。仕事、遊び、食べることや飲むこと、あらゆることを適度にすることだった。彼らは明らかに、過度の習慣には無縁の人たちだった。

中庸(; ・`д・´)

 

しかし私の経験から言えば、日ごろ責任を受け入れる人のほうが、受け入れない人よりも、この惑星で幸福な歳月を過ごす公算がはるかに大きい。「受け入れない人」は、人生を生きるというよりも、よろめき歩くことが多い。

 

その問題を君の心に預け、しばらく寝かせるといい。カヌーを漕いだり、釣りをしたり、獲物を追ったりしているうちに、時間がたてば無意識のうちに考えが整理され、まとまってくる。

(…)

私には、自然はこの世の中で最高の経営顧問だと思っている。

 

私はつくづくと思う。機会があるうちに子供たちを釣りに連れて行くことよりも大切なことはこの世にはいくつもない! ごく幼いうちから始めるように。目的は釣り上げる魚ではなく、子供たちと一緒に過ごす時間である。君と子供のあいだに友情を育むために。

 

こんなパパ持ってたらどんな気分なんやろうか、息子と娘…(; ・`д・´)