Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

後世への最大遺物・デンマルク国の話

後世への最大遺物・デンマルク国の話 (岩波文庫)

【概要】
著者(監督):内村鑑三

①1894(明治27)年と②1911(明治44年)の講演を収めた。

①後世への最大遺物:英米の実業家や篤志家の例(クロムウェル(カーライル)、ハーシェル、リビングストン、クラーク博士など)を引きながら、人が後世に遺せる最大遺物は「勇ましい高尚なる生涯」であると訴える(金でも事業でも思想でもなく)。100年以上たった今でも胸に訴えるものがあるのでは。

②デンマルク国の話:シュレスヴィヒ戦争で沃野を失ったが、挙国一致の林業振興で乗り越えた。『戦艦大和ノ最後』の「進歩ノナイ者ハ決シテ勝タナイ 負ケテ目ザメルコトガ最上ノ道ダ」を思い出した。

 

【詳細】
<メモ>

①後世への最大遺物

  • 1894(明治27)年の講演。基督教青年会第六回夏期学校in箱根。
  • 鑑三、意外とユーモアがある。例)「この講師が嚆矢であるかも知れない」「(クラーク)先生だいぶ化の皮が現れた」
  • 「私は何かこの地球にMomentを置いて逝きたい、私がこの地球を愛した証拠を置いて逝きたい、私が同胞を愛した記念碑を置いて逝きたい」
  • 「われわれがこの世の中にあるあいだは、少しなりともこの世の中を善くして往きたいです」

 

それならば最大遺物とは何であるか。私が考えてみますに人間が後世に遺すことのできる、そうしてこれは誰にも遺すことのできるところの遺物で、利益ばかりあって害のない遺物がある。それは何であるかならば勇ましい高尚なる生涯であると思います。これが本当の遺物ではないかと思う。他の遺物は誰にも遺すことのできる遺物ではないと思います。

しかして高尚なる勇ましい生涯とは何であるかというと、私がここで申すまでもなく、諸君色われわれる前から承知している生涯であります。すなわちこの世の中はこれはけっして悪魔が支配する世の中にあらずして、神が支配する世の中であるということを信ずることである。失望の世の中にあらずして、希望の世の中であることを信ずることである。この世の中は悲嘆の世の中でなくして、歓喜の世の中であるという考えをわれわれの生涯に実行して、その生涯を世の中への贈物としてこの世を去るということであります。その遺物は誰にも遺すことのできる遺物ではないかと思う。

 

この一年の後にわれわれがふたたび会しますときには、われわれが何か遺しておって、今年は後世のためにこれだけの金を溜めたというのも結構、今年は後世のためにこれだけの事業をなしたというのも結構、また私の思想を雑誌の一論文に書いて遺したというのも結構、しかしそれよりいっそう良いのは後世のために私は弱いものを助けてやった、後世のために私はこれだけの艱難に打ち勝ってみた、後世のために私はこれだけの品性を修練してみた、後世のために私はこれだけの義侠心を実行してみた、後世のために私はこれだけの情実に勝ってみた、という話を持ってふたたびここに集まりたいと考えます。

 

われわれに後世に遺するのは何もなくとも、われわれに後世の人にこれぞというて覚えられるべきるのはなにもなくとも、アノ人はこの世の中に活きているあいだは真面目なる生涯を送った人であるといわれるだけのことを、後世の人に遺したいと思います。(拍手喝采)

 

  • サム・ジーヴァ帝も帝国の総力を挙げて調べてみたのだが、意外と意見が割れてしまった(そもそも7票しか入ってないとか言わない)(๑╹ω╹๑ )

 

★小ネタリンク集

ハーシェル
"Do their best to leave the world wiser than they found it."

 

・クラーク先生

「学問に対するInterestを起す力を持った人でありました」

"Boys, be ambitious!"

www.lib.hokudai.ac.jp

 

 ・内村鑑三の著作

javalousty.hatenablog.com

 

javalousty.hatenablog.com

 

・不敬事件

r-ijin.com

 

②デンマルク国の話

 

1911(明治44年)の講演。

ja.wikipedia.org


曰く、「戦いに敗れて精神に敗れない民が真に偉大なる民であります」。

 

富は有利化されたるエネルギー(力)であります。しかしてエネルギーは太陽の光線にもあります、海の波濤にあります、吹く風にもあります、噴火する火山にもあります。もしこれを利用するを得ますればこれらはみなことごとく富源であります。かならずしも英国のごとく世界の陸面六分の一
の持ち主となるの必要はありません。デンマークで足ります。然り、それよりも小なる国で足ります。外に拡がらんとするよりは内を開発すべきであります。

 

 ①でも「地球」という言葉が印象的だったが、この時代で再生エネルギーやそれらを用いた発電のことを考えていたとは、鑑三なかなか先見の明がある。