【概要】
著者(監督):土井裕泰
2020年から遡っていくのがすでにつらい。切なさが常に背景にある。花束のように瑞々しかったものが萎れ色褪せていくのを見るのはつらい。手入れを怠ったらだめなんだなあ。交互に流れるモノローグがだんだんシンクロしなくなっていくのは悲しい。もうすべての思い出が結末から照射されてその影を濃くするからしんどいのよ。今うまく行ってる人もいない人も鑑賞して今を大事にしてほしいぞい(自分も乏しい類似経験を思い起こしたぞい)。
映画や本などのサブカルが絶妙に知ってるような知らないような、でもちょっと知ってるかも?な線を攻めてくるんだな、絶妙に。
【詳細】
<あらすじ>
<メモ>
- 菅田と有村さすがやな! 役柄に憑依してたで。山音麦と八谷絹って似てるな。
- 映画や本などのサブカルが絶妙に知ってるような知らないような、でもちょっと知ってるかも?な線を攻めてくるんだな、絶妙に。たとえば今村夏子、(小川洋子)、押井守、金カム、宝石の国、カンブリア宮殿、ゼルダ、パズドラ、いらすとや…ピンポイントな実名ネタにこだわりを感じる。あと映画の半券しおりにしているところとか。
- 一緒に漫画を読み、本を交換し、音楽を聴き、髪を乾かし、ガスタンクムービーを観て、カラオケで歌い、本棚を眺め、体を重ね、迂闊なマンガ実写化をなじり…異様に気が合う二人だったが、日々の仕事や生活に圧迫されてシンクロ率は低下の一途をたどる。絵も描かず(ショートショートの挿絵みたいな絵やな)、映画や舞台も行かなくなり…。靴がお揃いじゃなくなり、パズドラに代表されるソシャゲに変わり、小説がビジネス書に変わり…。
- ファミレスやアパートでの生々しい空気感、三日三晩XXする若さ、丁寧語からタメ口に変わる自然さ、猫、同棲、親訪問…もうすべてが結末から照射されてその影を濃くするからしんどいのよ。
- 終盤でジョダギリオーが言っていた「鮮度」が効く。未来のことはわからないけれども、瑞々しく花が輝いている今を大事にすることはきっと間違っていない。
- 結婚式後の観覧車での昔語り(ミイラなど)、ファミレスでの別れ話、そこで見た新カポー誕生の瞬間、駆け出す有村と追う菅田。しんどいからもうやめてくれよ…。でも、旅立つまでの三ヶ月の余熱期間とか、LR問題で偶然会った二人が最後に振り返らず手を振るところとか、ストリートビューで在りし日の二人を発見するところとかが救いかな。
神田川の「貴方のやさしさ」ってそういう意味だったのか(; ・`д・´)
出逢いがあれば別れがあるのよ(; ・`д・´)