著者:内村鑑三 訳:鈴木範久
【粗評】
西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人の鑑三が厳選した「代表的日本人」5人を英語で紹介。
平易な講話風で実に読みやすい。各章一節目の導入がウマい。
西洋向けに神や愛と結びつけながら、各人の生涯を解説。
鑑三は冷静な基督教徒なので、東洋人の貴んでいた「徳」の大切さを訴えることを忘れない。
が、日露戦争が彼をして日本に幻滅せしめて了った。
東洋思想の一つの美点は、経済と道徳を分けない考え方であります。東洋の思想家たちは、富は常に徳の結果であり、両者は木と実の関係と同じであるとみます。
私は、宗教とはなにかをキリスト教の宣教師より学んだのではありませんでした。その前に日蓮、法然、蓮如など、敬虔にして尊敬すべき人々が、私の先祖と私とに、宗教の真髄を教えていてくれたのであります。何人もの藤樹が私どもの教師であり、何人もの鷹山が私どもの封建領主であり、何人もの尊徳が私どもの農業指導者であり、また何人もの西郷が私どもの政治家でありました。
神の恵みは、天からと同じく地からも来なければなりません。さもなけば良き実を結ぶことはできません。人間の地上に属する要素を軽んじ万人に対してひとしく天からの福音だけで足ると考えるような信仰は、素朴な人間の常識に反します。
私の貴ぶ者は二つのJであります、其一はJesusであります、其他の者はJapanであります、本書は第二のJに対して私の義務の幾分かを尽した者であります。
【学んだこと、生かしたいこと】
【その他・リンク】