【概要】
著者(監督):見城徹
幻冬舎創業者・編集者が自身の半生と読書歴、出逢った人々を回顧する。読書を通じ自己検証・自己嫌悪・自己否定のすえに自分の言葉を獲得し、少しずつ前進し理想を現実世界に実現していくことが大事とのこと。
左翼思想へ傾倒した日々、石原慎太郎や村上龍など錚々たる作家たちとのエピソード、吉本隆明や三島由紀夫の言葉の引用など、話は各所に飛ぶがなかなか面白い。そして、「書かずには救われない」ほどのものを内に持っていないと作家にはなれないことを感じ、私は心で涙を流した。
【詳細】
<編集者>
- 人の精神という目に見えないものを、商品に変えて流通させ、それを何億もの金に変える商売だ。こんな商売はいかがわしいとしか言いようがない。
- 作家に依頼する時の基本は、今も昔も手紙である。
- 感想こそ人間関係の最初の一歩である。
- 人を動かすには、一にも二にも頭がちぎれるほど考えて、言葉を選択するしかないのだ。
- 小説に限らず、作品というのは、その人がいちばん書きたくないものを書かせたときにいちばんいいものができるし、売れるのである。
- 表現とは結局自己救済なのだから、自己救済の必要がない中途半端に生きている人の元には優れた表現は生まれない。
<読書論>
- 本には、人間社会を理解する上でのすべてが含まれている。
- 僕の人生はすべて読書とともにあったといっても過言ではない。
- 一心不乱に本を読み、自分の情念に耳を澄ます時期は、必ず自分の財産になる。だから、手軽に情報が取れるようになっただけになおさら、意識して読書の時間を捻出すべきだと僕は考えている。
- 読書とは自己検証、自己嫌悪、自己否定を経て、究極の自己肯定へと至る、もっとも重要な武器なのである。生きて行くということは矛盾や葛藤を抱えて、それをどうにかしてねじ伏せるということだ。
- 読書を通じて数々の言葉に出会い、そこから人生の指針となる言葉をすくい上げ、肉体化し、実践していけば、言葉を自分のものとして獲得できるのだ。