Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

大空のサムライ-かえらざる零戦隊

著者:坂井三郎
評価:A

【粗評】
面白い。
愛機を操り、感覚を極限にまで研ぎ澄ませ、死生の境界に生きる。
高空、高速で繰り広げられる命のやりとり。時間の感覚も、生死の境界も薄らいでいく。
その中で腕を磨いていく彼らは、地球上で最後のサムライたちだったのかもしれない。

文字通り命がけの貴重な経験。
戦友たちとの睦みあい。
朝には紅顔あれど、夕には白骨だにない。

練習風景にはじまる戦闘の描写は精緻を極め、まるで眼前にコックピットがひろがっているようだ。
エンジンの唸る音、光る列機の銀翼。
臨場感たっぷりの斬り合いの実況中継。

その戦闘の合間には、視力、筋力、胆力の鍛練を欠かさなかった。
自分に克ち、死神に勝たなければ生き残れない、残酷な魔境に生きた男たちの記録がここにある。

光人社NF文庫らしからぬ読みやすさ。
この書物をこそ評価するべきであって、
ゴーストライターや戦中・戦後の坂井の行状は問題ではない。

私は小さい頃から、スピードというものに異常な魅力を感じていた。

叩き上げられていくうちに、若い搭乗員たちも、回を経るごとに自信を強め、いつしか戦場のベテランに成長していくのであるが、激しい大空の死闘の中で、きのうは一機、きょうは二機と、かれらは南海の空を紅に染めて散っていった。

その頃の毎日がいかに不幸の連続であっても、われわれはその不幸な事実に慣れることも、怖れることも、また特別の不安も、特別の苦悩も抱かなかった。いや、苦悩どころか、戦友の屍を乗り越えて我々は戦うので、死ぬことは初めから覚悟している。ただそれが早いか遅いかだ。それだけに毎日毎日の空戦に全力をかけた。

私は、前にも述べたように、数えきれないほど敵と渡り合って命のやりとりをしたが、敵と渡り合う苦しさよりも、第二の天性をつくるまでに感じたいろいろの悩み、すなわち怠けようとする心、妥協しようとする心、人をうらやむ心、等々いろいろのボンノウと闘うこと、言い換えれば、敵と闘うことより、自分に勝つことの方が、ずっと苦しいことであることを知った。
【学んだこと、生かしたいこと】
限界(・ε・)バトル

【その他・リンク】