Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 [単行本]
著者:村上春樹
評価:C

運よく貸してもらえたので読んだ。タイトルの春樹感。370頁。「乱れなく調和する共同体」。
村上春樹の著作は三つくらいしか読んだことがないが、その経験というか記憶から言うと、
≪明瞭な比喩で修飾された簡潔な文体で書かれた、そこそこ優秀でそこそこモテてそこそこ行動力があり、「あるいは」「かもしれない」「ある意味では」などの言い回しを好み、音楽やコーヒーを好む春樹的主人公が登場する難解な物語≫、というのが自分の彼の作品に対する印象。おそらくたぶんだいたいおおむねあっているはず。

さて、今作。
灰田や『トークン』の話、シロのことに関してはやや消化不良な気もするが、この作者にしてはすっきり謎を回収してくれたように思う。しかしそれは、彼らしくないこととも言えるのかもしれない。彼にしては「おとなしい」感じか。
彼の作品をどう鑑賞してよいかいつも困るところだが、まあ作品の解説・考察は、ハルキストに任せればよい。
もちろん!みんなの好きな×ッ××シーンは健在。けれども今回はそれに関してちょっとマズいシーンがあった。興味のある読者諸賢は118頁あたりを読んでくれたらよいと思う。