Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

死の淵を見た男

死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発 (角川文庫)

【概要】
著者(監督):門田隆将

私は、「あること」がどうしても知りたかった。
それは、考えられる最悪の事態の中で、現場がどう動き、何を感じ、どう闘ったのかという「人としての姿」である。

 

本書は、吉田昌郎という男のもと、最後まであきらめることなく、使命感と郷土愛に貫かれて壮絶な闘いを展開した人たちの物語である。

 

福島原発の初期対応を現場指揮した吉田所長を主人公に、現場で奮闘した多くの関係者に取材して再構成したンフィクション。GEによる原発建設の経緯から説き始めるあたり、もはや群像劇で叙事詩。吉田所長に生前インタビューできたのは勲一等の功績。

「THE DAYS」や「Fukushima 50」の元ネタ本のひとつで、映像化作品としては「THE DAYS」が結構リアリティあるが、「チェルノブイリ」ほど俯瞰した感じはないかも。カラーページの原子炉構造が地味に嬉しい(映像化作品ではあまり説明されていないので)。業界関係者や理工系以外には聞きなれない用語(BWR, SBOなど)もちゃんと説明してくれる。

すでに風化しつつあるが、「チェルノブイリx10」もありえた最悪の事態の中で、何とか破滅的な事故に至るのを防げたのは彼らの献身あってのことだった。吉田所長がいなかったら一体どうなっていたのか…その幸運と運命を思う。消防車の早期手配や注水ラインの手動確保は慧眼。『正法眼蔵』×理工系技術者=鬼だ。

 

【詳細】

<目次>

  • 激震
  • 津波の襲来
  • 緊迫の訓示
  • 突入
  • 避難する地元民
  • 緊迫のテレビ会議
  • 現地対策本部
  • 「俺が行く」
  • われを忘れた官邸
  • やって来た自衛隊
  • 原子炉建屋への突入
  • 「頼む!残ってくれ」
  • 一号機、爆発
  • 行方不明四十名!
  • 一緒に「死ぬ」人間とは
  • 官邸の驚愕と怒り
  • 死に装束
  • 協力企業の闘い
  • 決死の自衛隊
  • 家族
  • 七千羽の折鶴
  • 運命を背負った男


<メモ>

  • 地震津波だけでも絶望的なのに、それに加えて全電源喪失放射線量の増加、原子炉内温・内圧の上昇、炉心融解、水素爆発など、絶望のオンパレードだ。そんな絶望的な状況の中、現場指揮官として現場の士気を鼓舞し、文字通り部下の命を預かる重責いかばかり。技術者的原理原則とリーダーシップ、『正法眼蔵』で培った死生観で窮地を脱した。著者曰く「人間には、命を賭けなければならない時がある」とのことで、ヨッシーはこの一件で命を燃やし尽くしたの感がある。最低限の要員以外が撤退した緊対室には悲壮感よりも爽やかさがあったとのことだが、その雰囲気はその場にいた者しかわからないだろう。
  • 小型発電機や自動車バッテリーで計器の表示を確認する、エアー弁や電磁弁を手動/移動コンプレッサーで開閉する、消防車を複数台繋いで海水を注入する、百点ではなくとも現場現物で泥臭く目的を達するのは、エンジニアリング感があり燃える。
  • 大局観や冷静さなき言動のイラ菅にイライラさせられる(著者も明らかにイラついている)。←「官邸が、グジグジ言ってんだよ!」「ギャアギャア言う」
    「ツーツーになる」などの理工系用語が地味に刺さる。

 

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