【概要】
著者(監督):岡田尊司
労働者に求められる能力が高度化・複雑化する現代社会においては、「正常」「健常」のレベルが上がっており、人知れず苦しむ人も多い。ある種能力不足の認定がほしい人々が精神科に行くのだが、多くは「グレーゾーン」で様子見ということになる。が、「「グレーゾーン」は決して様子を見ればいい状態ではなく、細やかな注意と適切なサポートが必要な状態」らしい。
ADHD, ASDなどの多様な症状が発達障害にはスペクトラム的に含まれており、多かれ少なかれ我々はその特徴を有している。漱石やカフカ、ビルゲイツやイーロンマスクなどの有名人エピソードもコラム感覚で紹介され、外れ者が人類発展の起爆剤となったこと、尖った特徴は障害というより特性にすぎない場合が多いことを匂わせる。障害と特性は表裏一体なのだ。
「大事なのは、障害か障害でないかを区別することではなく、その人の強みと弱い点をきちんと理解し、適切なサポートやトレーニングにつなげていくこと」で、近年は個人の発達特性のばらつきはニューロダイバーシティとみなされるようになってきているらしい。
【詳細】
<目次>
- 第1章 「グレーゾーン」は症状が軽いから問題ない?
- 第2章 同じ行動を繰り返す人たち―こだわり症・執着症
- 第3章 空気が読めない人たち―社会的コミュニケーション障害
- 第4章 イメージできない人たち―ASDタイプと文系脳タイプ
- 第5章 共感するのが苦手な人たち―理系脳タイプとSタイプ
- 第6章 ひといちばい過敏な人たち―HSPと不安型愛着スタイル
- 第7章 生活が混乱しやすい人たち―ADHDと疑似ADHD
- 第8章 動きがぎこちない人たち―発達性協調運動障害
- 第9章 勉強が苦手な人たち―学習障害と境界知能
- 第10章 グレーゾーンで大切なのは「診断」よりも「特性」への理解