Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

物語 シンガポールの歴史 エリート開発主義国家の200年

物語 シンガポールの歴史 エリート開発主義国家の200年 (中公新書)

【概要】
著者(監督):岩崎育夫

経済発展を唯一のイデオロギーとした国家主導型の開発を続け、東南アジア地域の結節点として確固たる位置を占めている都市国家シンガポールの歴史を紹介。政治・経済・教育など、経済発展を至上命題としたシステム構築に励んでいるので独自の文化は薄め(元・無人島で200年しか歴史がないのもあるが)。そして意外と製造業のウェイトは高め。著者はシンガ人と結婚しており物語シリーズを書くには好適の人材ね。

苦痛に満ちた日本占領時代に皮肉にも勃興したナショナリズム、マレーシアからの先の見えない旅立ちと断固たる決意、リー・クアンユーのもと一致団結した国民たち、20世紀後半の経済発展など、そこそこドラマチックな歴史がある。

一方で、厳しすぎる教育制度や一党独裁への反抗など、近年は自由への欲求もムクムクしているようだ。少子高齢化という東アジアで特に顕著な問題も抱えているぞい。

【詳細】
<目次>

  • 序章 シンガポールの曙―一九世紀初頭
  • 第1章 イギリス植民地時代―一八一九~一九四一年
  • 第2章 日本による占領時代―一九四二~四五年
  • 第3章 自立国家の模索―一九四五~六五年
  • 第4章 リークアンユー時代―一九六五~九〇年
  • 第5章 ゴーチョクトン時代―一九九一~二〇〇四年
  • 第6章 リーシェンロン時代―二〇〇四年~
  • 終章 シンガポールとは何か

 

<メモ>

国際競争力の強さを一文で説明すると、

すなわち、国土が小さく何の資源もないなか、世界とつながった経済発展こそが唯一の生存の道であるという考えの下で、政府が開発関連機関を体系的に整備し、社会の有能な人材を開発官僚として確保し、彼らが必死に先進国企業を誘致して、これらの企業が活動しやすい環境整備に努めたこと、政府自らも開発に参加して官民一体の開発方式を進めたからである。

 

強さの秘訣

自由主義や民主主義や共産主義など、一切の政治イデオロギーや政治理念を持たないこと、その替わりに現実的で政策立案・実行能力などのプラグマティズムの原理に徹していること」