Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

SDGs(持続可能な開発目標)

SDGs(持続可能な開発目標) (中公新書)

 

【概要】
著者(監督):蟹江憲史

世をときめくSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の詳細な解説本。SDGs界のVIPらしく、その誕生の経緯から個々の項目の解説、企業や国の取り組みと課題を一通りまとめてある。技術士とか化学工学技士(渋)とか受ける人は読んでみては。

 

www.sdg-s.jp

imacocollabo.or.jp

【詳細】

<目次>

  • 第1章 SDGsとは何か
  • 第2章 SDGsが実現する経済、社会、環境の統合
  • 第3章 SDGsの全貌
  • 第4章 企業はSDGsにどう取り組むべきか
  • 第5章 自治体におけるSDGsの取り組みと課題
  • 第6章 皆の目標としてのSDGsへ
  • 第7章 SDGsのこれから―ポスト・コロナの世界の道しるべ


<メモ>

重要なのは、このSDGsにすべての国連加盟国が賛同しているという点である。あらゆる国が、その政治的イデオロギーや、地理的な位置、軍事的・経済的パワーの違いを超越して、将来の世界の姿はこうあるべきだ、という大きな目標に賛同しているのである。
このことの意味が、とてつもなく大きい。今は国による意見の違いや、やり方の違いはあっても、将来あるべき姿は共有している。しかも、かなり包括的にさまざまな課題を含み、そして具体的である。ここまで具体的に未来の姿が描かれ、しかもそれが世界のすべての国に合意されたということは、これまでにない。

 

では、SDGsには何があるのか。目標とターゲットがあるのみである。それらに法的な拘束力はなく、したがって目標を達成できなくともペナルティはない。
ルールがないということはすなわち、各主体が自由に目標達成へ向けた方策を考え、それぞれに合ったやり方で対応を進めることができるということである。多様性を重視するということは、異なるやり方の間でのコラボレーションが、さらに新たな方法を生み出していく面白さがあるということでもある。自由度が高いということは、創造性がモノをいう。それはまた一方で、差もつきやすいということでもある。

 

いかに総合的だとはいえ、SDGsの目標達成を目指すにあたって、最初から17目標すべての達成を目指そうとすると、肩に力が入ってしまい、柔軟な発想も出てこない。そもそも、17目標と169ターゲットを常に念頭に置くこと自体が通常は困難であろう。17目標はむしろ、目標達成を目指す取り組みの「入口」が17個あると考えるほうがよい。17個もの異なる入口があれば、少なくともそのどれか一つは取り組みのきっかけになるだろう。
大事なのは、どの側から入ったとしても、何らかの取り組みを進めようと思えばその活動が他の目標にも連関することになり、結果として総合的視点から取り組みを進める必要が出てくる、という点である。そうなるとSDGsは総合的に取り組むためのチェックリストの役割も果たすことになる。

 

SDGsは社会の矛盾の宝庫であり、したがって、ビジネスチャンスの宝の山だ、ということになる。SDGsの目標やターゲットを達成できる手段を開発できれば、技術であれ、制度であれ、社会の仕組みであれ、大きなイノベーションになる。つまり、SDGsという答えだけが載っている問題集のページをめくり、どうやったら答えにたどり着けるかというプロセスを解くことができれば、大きなイノベーションが生まれることになる。

 

SDGsが共通言語だという特徴は、研究者と実務家の間の共通言語という意味でもあるし、研究者間の共通言語という意味でもある。これまで「持続可能な開発」や「サスティナビリティ」といっても、研究分野や職種を超えた会話においては、必ずしも同じコトやモノを意味しないことも多かった。そうしたなかで共通概念が出てきたことの価値は極めて大きい。

 

イノベーションで解決を目指していくことができれば、個別合理性と社会的合理性の調和の道も開けてくるのではなかろうか。実は、筆者がSDGsに最も期待したい点は、こうしたことである。SDGsという歴史上はじめての大きな社会実験がこれを証明できたときには、地球と人類には明るい未来が開けてくるような気がしている。逆にいえばそれができない限り、地球と人類は限界に突き当たることになる。

 

◎自分である程度やれること:1~17

  • 1: あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
  • 2: 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
  • 3: あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
  • 4: すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する⇒学習成果をtwitterやブログなどで公開する、何らかの学習を続ける
  • 5: ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う⇒まずは自身や周囲の中にあるジェンダーバイアスに気づく
  • 6: すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
  • 7: すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
  • 8: 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用を促進する⇒職場の労働環境を良化させる
  • 9: 強靱なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及び改革の推進を図る
  • 10: 各国内及び各国間の不平等を是正する
  • 11: 包摂的で安全かつ強靱で持続可能な都市及び人間居住を実現する
  • 12: 持続可能な生産消費形態を確保する⇒そういった商品の開発に間接的に参画する、ご飯を残さない、過剰包装のものを買わない、再利用可能な容器を使用する
  • 13: 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる⇒CO2低減あるいは削減を目指す取り組みを支援する
  • 14: 持続可能な開発のために海洋・海洋資源保全し、持続可能な形で利用する
  • 15: 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
  • 16: 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルで効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
  • 17: 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

 

www.unicef.or.jp