【概要】
著者(監督):神原一光
辻井伸行と恩師・川上の二人三脚の12年間を描いたNHKの「こころの遺伝子~あなたがいたから~「器の大きなピアニストになれ 辻井伸行」を書籍化したもの。視覚障害者という言葉から連想されるバイアスが見事に粉砕される一例である。
師、曰く「彼は、自分の口からマイナスの発言はしません。これは、簡単なことのようでなかなか真似できるものではありません。『言い訳』や『愚痴』がまったく出ない。それどころか、現実的にさまざまな障壁が出てきても、それを障壁とも思わない図太さを持っているのです」☜いや現代の猛将やんけ。ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールでの"Nobuyuki Tsujii"に涙。そして読み返していると冒頭に掲載されている辻井の師への手紙に(;ε;)
「200以上ある「譜読みテープ」は、今でも僕の大切な宝物です」☜(;ε;)
「先生とのレッスン、本当に楽しかった。大好きだったピアノを、ずっと大好きなままでいさせてくどさって、いや、もっともっと大好きにさせてくださって、本当にありがとうございました。川上先生との奇跡の出会いに感謝します」☜(;ε;)
【詳細】
<目次>
- 1章 世界中の人に聴いてもらいたい
- 2章 「ブラボー!」が聞きたくて
- 3章 6歳と29歳、運命の出会い
- 4章 ピアニスト・川上昌裕が挑んだ道
- 5章 この子にあった指導法とは?
- 6章 「奇跡の音色」へ輝きだした才能
- 7章 2人の夢、ショパン・コンクールへ
- 8章 自立と別れの季節に
<メモ>
彼は、自分の口からマイナスの発言はしません。これは、簡単なことのようでなかなか真似できるものではありません。『言い訳』や『愚痴』がまったく出ない。それどころか、現実的にさまざまな障壁が出てきても、それを障壁とも思わない図太さを持っているのです。
オーケストラと共演する際、いかにして指揮者とコンタクトを取るかが課題とされたが、類まれなる聴覚を持つ辻井は「指揮者のブレス」を耳で聴き取ることでこれを次々とクリア。辻井のピアノは観客を前にした「本番」によって鍛え上げられていった。
川上とともに、目標を見つけ、それに向かって努力し乗り越える。そして、その達成感を大きな自信に変えていく。その積み重ねが、辻井を「本番に強いピアニスト」へ育んでいった。
音楽はいつも楽しいですし、つらいと思ったことは一度もないです。表彰式でヴァン・クライバーンさんに抱きしめられたときは本当に感動しました。
伸くんを見ていると、自然に物事がうまく進んでいくように見えることが多かったような気がします。もちろん、困難や試練のときもあったと思います。でもそのつど、究極のプラス思考ですべて乗り越えてくることができました。伸くんは人々や周りの世界を変えていくほどのすごいエネルギーを持っている、と感じています。