【概要】
著者（監督）：中村誠次
1980年放送の「NHK特集 シルクロード」の取材班団長がシルクロードよもやま話をする。シルクロードといえば、井上靖や平山郁夫でおなじみ。敦煌とか楼蘭とかクチャ（亀茲）とかカシュガル（疏勒）とかサマルカンドとか、鳩摩羅什とか安禄山とか、莫高窟とか汗血馬とかそういった言葉が溢れている。現地で生（なま）の体験をした人のはずなのだが、そのあたりの迫力というか真に迫った感じがあまり紙面から漂ってこないのはなぜ？
未だ謎が多いのはわかるのだが、もっと深く掘り下げてほしかった気も。エッセイなのか学術書寄りなのかが中途半端な感じ。３章立てぐらいにしてそれぞれ３倍ぐらいの分量にしてもよかったと思うんだけどなあ。あと地図や画像がもっとあった方が読んでいて楽しくストレスフリーだったはず。まあシルクロードへの憧憬が改めて掘り起こされた点や、「楼蘭の美女」などの耳目を惹く言葉とかリヒトホーフェン・スタイン・ヘディンといった冒険者・研究者の系譜を知れたのはヨシとしよう。
【詳細】
＜目次＞
- 序章 遥かなるシルクロード
- 第一章 「楼蘭の美女」は、どこから来たのか
- 第二章 「さまよえる湖」が、もうさまよわない理由
- 第三章 「タクラマカン」は謎の巨大王国なのか？
- 第四章 絹と玉の都、ホータン王国の幻の城
- 第五章 建国の夢が滅びの始まり――ソグド人の悲劇
- 第六章 奪われた王女――亀茲王、烏孫王女を帰さずに妻とする
- 第七章 玉を運んで四千キロ――謎の民族・月氏の正体
- 第八章 楼蘭・ぜん善王国の消えた財宝――天下一の大金持ち王の末路
- 第九章 仮面をつけた巨人のミイラの謎
- 第十章 幻の王族画家が描いた「西域のモナ・リザ」
- 終章 シルクロードはなぜ閉じられたのか――捨てられた敦煌
- おわりに
＜メモ＞
ちなみに最近は「鳥人間 中国史三昧」にハマっており、車中でよく聴いている(; ･`д･´)
