Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

ポスト資本主義

著者:広井良典
評価:B

【評】
科学哲学専攻だけあって、
社会や思想、技術の話の中で科学っぽい成分が多め。

人間の歴史の中でこの第三の拡大・成長と定常化のサイクルの全体が、(近代)資本主義/ポスト資本主義の展開と重なるというのが、本書の基本的な問題意識となる。

「定常」という表現からはともすれば“変化の止まった退屈で窮屈な社会”というイメージが伴うかもしれないが、それは物質的な量的成長の概念にとらわれた世界であり、定常期とはむしろ豊かな文化的創造の時代なのである。

いずれにしても私たちは、21世紀における(第四の)拡大・成長と定常化の間で、数百年ないし数千年単位の歴史の大きな分岐点あるいは両者の“せめぎ合い”の時代に立っていると考えてよい。

定常運行のために、
「歩くスピードを今よりもゆっくりさせ、(未来世代を含む)他者や風景などに多少の配慮を行うこと」
また「人生前半の社会保障」 を手厚くし、

資本主義的な「拡大・成長」ではなくむしろ「(地域内)循環」に軸足を置いたコミュニティ経済が発展していけば、それは自ずと(1)の「過剰の抑制」にもつながり、かつそこで様々な雇用やコミュニティ的なつながり等が生まれていけば、それは格差の是正(あるいは失業の減少や社会的排除の是正)にも一定寄与し、結果的に(2)の再分配の前提条件を緩和させることになるからである。

なるほど。
「よりゆっくり、より近く、より寛容に」ってことだぬ。