【概要】
著者(監督):蒲池明弘
日本社会に与えた衝撃(インパクト)において、馬の普及は水田耕作の普及に匹敵するのではないか。
古墳時代から日本列島に流入した軍事家畜・馬を主軸に据えて日本史を見直してみる試み。バイオ兵器・馬は、近世まで軍事力の根幹だった(; ・`д・´)
馬産地に適していた火山性草原(黒ボク土)が馬を育てた。2020年に行った阿蘇山みたいな風景を想像するとよいかも。地理・地質・歴史のいろいろなトピックに寄り道しながら進むあたりはブラタモリ。
【詳細】
<目次>
- 序章 「馬の日本史」のはじまり
- 第1章 関西―巨大古墳と武士の文化
- 第2章 九州―火山と馬産地
- 第3章 関東―なぜ鎌倉に武士政権が誕生したのか
- 第4章 東北―南部馬、その栄光と悲劇
- 終章 将軍の牧を駆けぬけた野馬たち
<メモ>
馬の歴史。武士の歴史。草原の歴史。この三つが重なり、交わるところに、この国の歴史のもうひとつの中心が見える。
極端な表現を使うなら、五世紀以降、馬が普及した結果、日本列島は異なる文化と風土をもつ二つの国に分裂したと考えたほうがわかりやすいのかもしれない。水田稲作を基盤とする「コメの国」 (西日本)と武力にたけた「馬の国」(東日本+九州南部)である。東国の武士たちが樹立した鎌倉幕府が、武力を背景に朝廷を実質的に支配するという構図は、中国史のミニチュアのようなところがある。
- 統一国家成立までは主要な輸出産業(To朝鮮半島)だった馬産産業は、増加する内需(東征)に支えられ繫栄し続けた模様。
- 樟葉、牧野、生駒など、馬っぽい地名はそこかしこに残っている。木曾義仲の幼名・駒王丸といえば…。在来馬見に行きたくなってきたわ。
- 近世までは騎馬兵めっちゃ強い(; ・`д・´)
〇桃山堂ブログ(著者)