評価:
【概要】
ええええがやった。
【詳細】
死んだはずの「ぼく」(おそらく中学生)が「コバヤシマコト」なる中学生に転生する。
作ったような関西弁(「よ」、「だ」、「さ」などの不自然な語尾)を話すプラプラ君に案内されながら、新たな命を得るため修行の場に赴く。
生前の情報も知らないまま放り込まれた修行先は、割とハードモードだった。
学校では友達がおらずいじめられ、
家庭では、うだつの上がらないパパ、不倫するママ、受験を控えピリピリした兄に囲まれ、
さらに密かに想う女の子・ひろかのラブホINとオカンのラブホOUTを目撃してしまい、硝子の少年時代の破片が胸へと突き刺さった結果、自ら命を絶った。そんな中学生だった。
「ぼく」、いろいろやっちゃう。
イメチェンしたり靴買ったりボコられたり、援交を尾行しひろかの手を曳いて疾走したり…
はいいとして、
美術部のモサい唱子に「純粋で透明な小林君にも人並みの性欲はあるんだぜ」とちょっかいを出したり、
オカンに不倫の件を持ち出し問い詰めたりと、やりたい放題の暴挙に出る。
が、人を傷つけると同時に、自身の中坊メンタルもズタズタになっていく。
そんな中彼を救ったのは、地味ながらも自分の世界を持った路面電車君・早乙女だった。
一緒に歩く誰かがいるということは「ぼく」、意外と単純(中学生だもん)。
もうこれだけで ジーンとなるほどうれしい
それからというもの、早乙女とサイクリングしたり、パパと釣りをしたりとメンタルヒーリングに励む。そして遂にしゃぶしゃぶイベントが発生する。
真の自殺未遂で変化した家族の内面を知り、自分の残酷さと家族のいたわりに涙するのだった。生きるのも悪くないと思った。
そんなこんなで、「ぼく」、
と言ってのけるまでに成長する。この世でもあの世でも人間も天使も みんな変で普通なんだ頭おかしくて狂っててそれが普通なんだよきれいな色も きたない色もそう 僕だってどれが自分の色か分からなくてずっと迷ってた
でも 死ぬのだけはやめたほうがいい
「小林君はいつも深いところを見つめてた
純粋で 透明で 世界の悲しみをひとりで受け止めて」
と真を評していた唱子は、「ぼく」が元の真のようだと言ってくれる。
これだけ変わっても「ぼく」は真なのか?
答えはイエスだ。なぜなら「ぼく」の正体は、真だからだ。
えーーーーっ! でもまあ、そうか。
ふりかえれば赤面するような言動であったが、真を他人だと思えばこそ思いきった話や行動ができた。
「人間は一色じゃなく いろんな色を持っているんだ」と清濁併せた人間の多面性(オカン)を知り、
家族、友人、性、世界と自己の関わりについて苦悩した。全てに意味があった。
生き方の指針、世界の秘密の1つをプラ×2が教えてくれた。
本当の色 自分の色なんて誰にもわからない
カラフルでいいんです
カラフルに生きてください
自由に動き これからも自由に気づいていってください
たくさんの人があなたを支えていることを
あなたが誰かの支えになっていること
忘れずに あなたはこの世界にいなければならないんです
誰かさんへ
ぼくは 生きてます
眼の動き(唱子)、うろたえ方(唱子)、カニ歩き(唱子)の人間らしい動きや、
ティッシュをぶっきらぼうに突き出すツンデレお兄やんの動作が印象的であった。