著者:佐伯啓思
【粗評】
西田哲学と啓思の文字に惹かれて。
曰く、
私は夜更かしな性分なので、夜中に何か眠たくなるものでもと思って西田の書いたものを読み出したのです。
ところが眠くなるどころか、実に充実した真夜中を過ごすことになってしまいました。
↑ ぼくと同じじゃないか!
「哲学の道」から話は始まる。
今いいたいことは、(中略)
人生の基底に彼が「悲哀」を見出し、それを徹底的に見つめ、哲学にまで仕立てた、
ということなのです。
なるほど。
日本的思想を哲学するとこうなりました。
彼の思想をかみ砕きながら、特攻や宗教などさまざまなテーマと絡めて現代の諸相(「過度なグローバリズムや経済競争や成長至上主義やモノの浪費」)を批判。
ところどころに西洋近代哲学の概説がさりげなく入る。
純粋経験、絶対無の場所、無の思想、永遠の今(無)などを解説。
西田ワールドの住人になるためのてびきをしてくれる。
やさしくもはかない哲学を構築した、無無無の幾多郎。
思想。社会システムで世界の範たれ、日本。