Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

輪廻する宇宙

著者:横山順一
評価:B

【評】
ダライ・ラマにはじまり、ダライ・ラマに終わる。
しかし、本書のキモはもちろん、

フ ァ ン ト ム ダ ー ク エ ネ ル ギ ー
 
エネルギーゼロの状態と思っていたところにこうした量子力学特有のふらつきの効果を考慮することによって出てくるエネルギーのことを、ゼロ点振動のエネルギーという。このように、量子論を取り入れた宇宙の真空は決してカラッポの空間ではなく、量子論の不確定性に基づいたゆらぎのエネルギーで満たされているのである。

やはりダークエネルギーの正体は、(状態パラメータ:圧力/密度)w=-1の真空のエネルギー、位置エネルギー、宇宙項である、というのが一番シンプルな可能性である。その場合、宇宙は永遠に指数関数的膨張を続けることになる。

その方程式(真空のエネルギー密度に支配された宇宙全体に量子論を適用したもの)を解くと、宇宙全体がトンネル効果を起こすことを示すことができる。すなわち、ごく小さなダークエネルギーを持った非常に大きな宇宙が、初期宇宙のインフレーション時代に経験したような、大きな位置エネルギーを持った小さな宇宙に量子的な転移を起こすことができるのである。

これはまさに宇宙全体の輪廻転生であり、一つ一つの宇宙にははじまりと終わりがあっても、全ての宇宙の進化をあわせて捉えると、大宇宙全体にははじまりも終わりもなく、その中で一つ一つの宇宙が生成消滅を繰り返しているのだ、ということになる。