評価:B
【評】
国連憲章や安保改定成立の過程、日米政治家の答弁を追いながら、
自衛戦争のみを認める日本国憲法9条、武力攻撃の場合に個別的又は集団的自衛権を認める国連憲章51条、「敵」への先制攻撃を正当化するブッシュ・ドクトリンの絡み合いを説明する。
日本の側が基本的に“情緒的”なレベルで対米関係に臨んでいるのに対し、米国の側が常にリアルなパワーポリティクスで対応している、というこの“不均衡”こそが、安保条約を軸とした戦後の日米関係を根幹で規定してきた、と言っても過言ではないであろう。
日本は米国の世界戦略を支えるという十二分の「貢献」を果たしており、従ってそれを「カード」として「対等の立場で交渉できる条件」にある。にもかかわらず、ここまでの惨状をも覚悟して、米国にさらなる「貢献」を行うという議論は、理解をこえていると言わざるを得ない。
というわけで、
「誰が「敵」で何が脅威かを自らの見識で設定し、自らの戦略方針を練り上げること」
「大国に特権を与えることなく、グローバルな「総量規制」に向かう方向でイニシアティブを発揮すること」
が必要だよ、とのこと。