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Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

倹約と幸福

倹約と幸福 エネルギー・環境問題解決への道 (小学館101新書)
倹約と幸福 エネルギー・環境問題解決への道 (小学館101新書) [新書]
著者:新宮秀夫
評価:C

 「本来エンジニアである」著者が、倹約による人類の生き残り、そのために必要な発想の転換について説く。未来の人間のあるべき姿、そして本当の幸せとは何なのかを読者に問いかける。「地球規模での繁栄を人類が求める今の時代においての人間のあり方と、それが幸せとマッチするのかどうかという問いかけと、答えの試み、すなわち現代における、持続的社会を、『日本永代内蔵』の様式にならって、六巻三十話の小文にまとめた(一部改変)」本である、と著者は「はじめに」で述べている。
 古今東西の説話を交えた、種々雑多の三十話。少し文章に難があるのはご愛嬌。

 “東洋も西洋もなく、人類の本性に潜む「欲」の野放しが、エネルギー大量利用のおかげで可能になった現在は、人類が今まで経験していない環境破壊と人心荒廃の危機的状況に直面していることを認識する必要がある。世間では、これが文明、科学の進歩の成果であると大きく誤解されているのだが、政治家も学者も信用できないのだから、我々は自分でよく考えて、覚悟を決めて「先(将来の人々)も立ち、我も立つ」倹約社会を目指さねばならない” という一節が、著者の最も言いたかったことであろう。
 今の生活様式を大きく変えて、倹約を旨とする社会を作っていかなければならないことは、本書の中で度々語られており、耳にタコができるほどであった。そのため、「倹約=幸福」の等式をこれから人類に浸透させていかなければならないことはよく理解できた。しかし、どの話も精神的な議論に終始しており、地に足のついていない印象を受けた。確かに、唯物的なこの現代社会において、精神の健康が大切なのはわかるが、具体的に「どういう立場にある人が」「どうすべきか」知りたい読者も多いと思う。