【概要】
著者(監督):サイモン・ウィンチェスター 訳:梶山あゆみ
産業革命を契機に生まれた「精密さ」の概念。シリンダーとピストン、銃、ねじ、自動車、飛行機、GPS、ICチップに至るその追究の歴史。「精密さ」が工作機械や測定機器の発達を促した。300年前は0.1インチ程度の公差だったものが、今や(結構前から)光学機器でないと検出できないレベルに達している。
「かつての精密さは、小さな機械を用いて大きなものをつくり出していた。今や精密さは、巨大な装置を利用してきわめて小さなものを生み出したり観測したりするものになっている」のである。まさかの終盤での日本アゲは訳者も言っているように面映ゆい。
【詳細】
<目次>
- 第1章 星々、秒、円筒、そして蒸気
- 第2章 並外れて平たく、信じがたいほど間隔が狭い
- 第3章 一家に一挺の銃を、どんな小屋にも時計を
- 第4章 さらに完璧な世界がそこに
- 第5章 幹線道路の抗しがたい魅力
- 第6章 高度一万メートルの精密さと危険
- 第7章 レンズを通してくっきりと
- 第8章 私はどこ?今は何時?
- 第9章 限界をすり抜けて
- 第10章 絶妙なバランスの必要性について
- おわりに―万物の尺度
<メモ>
産業革命と軌を一つにして勃興した概念、精密さ。それは工作機械や測定器を生み出し、標準化と精密化を加速させた。蒸気機関、自動車、航空機、トランジスタなど、当時の先端産業と手を携えて精密の度が指数関数的に高まっていくのが興味深い。
現代のある種の機械はあまりに複雑で、あまりに精密につくられすぎていて、その製造に人間が参画するのは分別を欠いた行為なのではないか。
今私たちが目にしているのは、私たちが能力の上限に達しようとしている姿なのではないか。いい換えるなら、自分たちが必要と考える精密さを、自力では手なずけられなくなってきたのではないだろうか。
Difference between ACCURACY and Precision
新潟精器㈱
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