著者(監督):荒井晴彦
【概要】
着物を売りに行った日の青い空、空襲の日の赤い空。
戦争が生んだ非日常。非日常が生んだひと夏の官能。二階堂と長谷川の年齢差/身長差カップル、二階堂の「~わっ↑」「~ねっ↑」といったお嬢さん風の話し方、汗に濡れたオカンの腋毛が良い。
イケナイ感じがコアなファンを生みそうだ。
【詳細】
<あらすぎるあらすじ>
雨中バイオリンでメンデルスゾーンのバイオリンコンツェルトする男。
妻子を疎開させた銀行員・長谷川もとい市毛さん。
一方、知り合いの結婚式後家でゴロゴロする娘・二階堂もとい里子。
母と二人暮らし。いちおう役場で仕事はしている。
そこに戦災を逃れ転がりこむ母の姉。微妙にイラッとさせる喋り方で家庭内にギスギス感が。
里子さん、わりと気になっていた市毛さんの有効打を受ける。
男一人で家を空けがちなのでたまに掃除してほしいなとカギ渡される。
思い立って寝室掃除しちゃう。枕洗ってから嗅ぐ。このシチュね。
着物を食糧に換えるため田舎に行くと粗暴に着物をひったくられる。
母娘二人川辺で涼んで昼食をとっていると、大胆に肌脱ぐお母さん。リアル腋毛に奇妙な情動が。
市毛さんにのめり込むなよとオカンから釘指されたあとは
♪召されていった 空の父~を熱唱。青い空を見あげながら。
次の場面、風邪で寝こみながら見たのは炎に染まった赤い空。
おばさんの「落ちたらいいな」をぼうっとする頭で聞きながら。
市毛さんとどっか行くことに。神社でおにぎり食べる里子、水飲む市毛さん。
市毛さんが迫る。ちょっとずつ迫る。セミの声止まる。抱きつく。
そんな背徳的な抱擁も通りがかった人に見つかり中断。
家に帰った里子、ひんやり板の間でもやもやしながらだらだらする。
夜、意を決して市毛ハウスに赴く。
トマトという女体のメタファーを用いて遠回しに誘惑。
狂おしく接吻したあとは弱気になる市毛さんの膝にパンチ数発。
あえて強く恐ろしげな言葉を出す市毛さん。
モンペ脱ぐ。髪をおろす。ゲートル取る。
犯罪臭ある貫通式が挙行される。
開通後、身を清める里子。おしり。
戦争の終わりは二人の関係の終わり。
雨の中オカンは見ていた。娘の脱皮を。
『私が一番きれいだったとき』を朗読しつつ終了。
<印象>
- 里子、あんまりかわいくない。垢抜けてない。それが終盤の目覚めとのギャップを生むんだね。そして「~ねっ」「だわっ」などのお嬢さんもとい娘っぽい演技ね。
- 時代設定が戦時中ではあるが、センチメンタルでない。生活感がある。
- 腋毛やおしりのリアルなエロスがいいんだね。
- 身長差・年齢差カップルの背徳的・犯罪的な感じがいいんだね。
- 徐々に回るカメラワークが特徴的。