著者(監督):ルキノ・ヴィスコンティ
【概要】
窮極の雰囲気映画。映画界印象派の最右翼。
性狷介なオッさん、最期に美しい夢を抱いて死ねてよかったじゃないか。
美少年という言葉はタージオ君のためにとっておけ。美少女ではない。
【詳細】
<あらすぎるあらすじ>
トマス・マン原作。
1911年夏。気難しそうで人嫌いっぽいオッさんが保養地ベニスに。
新聞を読んでいてもついつい見ちゃう他の客。4姉妹のうち、男装のセーラー服の子が気になる。
見る。朝夕見る。花瓶ずらして食事中も見る。
水着を纏い海辺で遊ぶ彼女の声は男のものだった。男かよ!
タージオ君のチラ見生活を続けるも、疫病流行の噂が。
疫病をおそれ帰ろうとするも 荷物の発送ミスで戻る羽目に。嫌な顔しつつも絶対うれしいでしょ。
ときおり回想が入る。
美学論争、家族団らん、娘の死、娼館通い。なんだかとても遠くのことに思える。
疫病、本当に蔓延していた模様。
死期を悟ったオッさん、理髪店でお化粧。
病身を危険な地にとどめてでも見たいもの、それはタージオきゅん。
砂浜でまろび遊ぶ彼を見ながら、陽光の中で椅子に身を横たえながら、オッさん無事死亡。でも、これは彼が久方ぶりに手にした幸せなのかも。
<印象>
- ほっそり中性的美少年のタージオ君を眺める映画。若さの煌めきを、美しさを称える映画。
- OPの薄青い冒頭、良い。
- 美少年をチラ見(ガン見)する怪しいオッさんの観察者的視点を、観客も共有できる。
- 二人の奇妙な関係が変態的で良い。ときおり視線がぶつかるも会話しないのがまたね。