Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

日本史の論点

日本史の論点-邪馬台国から象徴天皇制まで (中公新書)


【概要】
著者(監督):いろいろ(五名共著)

五名の歴史学者が日本史の主な論点を整理する。日本史が概観できお得感がある。

邪馬台国はどこにあったのか」「元寇勝利の理由は神風なのか」といった定番の話題はもとより、「中世はいつ始まったか」「いつまでが「戦後」なのか」などの時代の画期を定めようとするもの、「墾田永年私財法で律令制は崩れていったのか」「大名や旗本は封建領主か、それとも官僚か」のように固定観念や画一的な見方に新たな視点を提供するものまで幅広い。

個人的には、資料が多く比較的最近の近現代よりも、古代や中世・近世に面白さを感じた。諸大名のほとんどが守護や守護代だったり、近世の藩士は実質的に近代の実務官僚だったり、歴史は古代/中世/近世/近代/現代と截然と分けられるものではないことを改めて感じられる。

カーが言うように、歴史は時代性や歴史家の恣意の写し鏡なのだなあ。

javalousty.hatenablog.com


【詳細】
<目次>

  • 第1章 古代(邪馬台国はどこにあったのか;大王はどこまでたどれるか ほか)
  • 第2章 中世(中世はいつ始まったか;鎌倉幕府はどのように成立したか ほか)
  • 第3章 近世(大名や旗本は封建領主か、それとも官僚か;江戸時代の首都は京都か、江戸か ほか)
  • 第4章 近代(明治維新は革命だったのか;なぜ官僚主導の近代国家が生まれたのか ほか)
  • 第5章 現代(いつまでが「戦後」なのか;吉田路線は日本に何を残したか ほか)
  • 日本史をつかむための百冊

 

<メモ>

 

  • 墾田永年私財法~道真の改革:人間単位で徴税する個別人身支配から、土地を徴税単位とする土地支配への転換
  • 院政天皇と摂関が提携する王権では埒が明かない事態が続出したとき、人々に期待された新しい王権、上皇(院)は天皇経験者であるが、天皇ではないからいわゆる「汚れ役」の実行が可能
  • 南北朝の動乱:宮方(朝廷)と武家方(幕府)の争いがすべてではなく、王権のあり方をめぐる天皇親政と院政の理念の対立であった
  • 戦国大名:要するに大犯三箇条(内裏大番役の催促、謀反人・殺害人の追捕)からスタートした鎌倉期の守護が、使節遵行(幕府の判決の実行)や刈田狼藉の停止(田地の紛争の取り締まり)、寺社・駅舎に関する権限に加え、裁判権をも獲得して室町幕府の守護となり、さらに強大化した到達点
  • 近世:初めて日本列島規模の国家システムが出来上がった時代(行政官・官僚と化した藩主・藩士、法・文書システムの整備)、基本的に大きな政府
  • 明治維新:江戸の達成、江戸の蓄積を巧みに活かした革新(士族内のみでの支配層入れ替わり)
  • もはや戦後ではない:戦災からの復興という需要を一通り食べ尽くした日本経済にとって、この先、どのようにして更なる成長が可能なのかという危機感の発露

<おまけ>

大石さんの百冊、大石さんの本多くない?