【概要】
著者(監督):石田衣良
アラサー女性4人組のコンカツ戦記(アラ還も)。合コン、お見合いパーティ、仕事での出会い、知人の紹介…あらゆる戦場で闘い続けた先に「運命の人」は現れるのか。他人事でないのが恐ろしい。
総合職と一般職、正社員と非正規社員、女と男の間に横たわる海溝…2009年の作でチト古いが世相を上手く切り取っているのでは。下記の部分が印象的だった。
- 「いろいろと迷っているうちに、だんだんと掛け金があがってきてしまった」
- 「もし運命の人がいなかったら、自分は一生こうしてひとり寝のままになる。それは果てしない暗闇の谷底に落ちていくような恐怖だった」
- 「靴と男は最初からあったやつしか、買ったらダメなの」
- 「けれど、自分の幸福は違う。心がけしだいで、どうにでもなるものだ。男たちがそれに気づいて、世界や社会より自分の幸福の追求に目覚めてくれたなら、きっとこの国の多くの女性がもっと幸せになることだろう」
男から見ると女性の行動や心理描写に非凡なものを感じるが、女性が見るとどうなんだろう。
【詳細】
物語の構造としては青い鳥系で定番だが、とても読みやすく若い人には痛切な内容なのでは。
「男の腕の稲妻のような静脈」といったフェティズム、「赤メガネ」「ヨーダ」などの容赦ない脳内ニックネーム、合コン3:3の法則、そのあとの女だけの反省会。あるあるを共有できるのでは。
女たち(というか主人公)のモノローグ。
- 「なにも予定のない週末が恐ろしくてしかたない。女の時間は男とは違う。花の命は短いのだ」
- 「男と女はこれほど世界にあふれているけれど、これだという最後の相手とはなかなか出会うことができない。一粒の宝石を探すために、砂漠の砂を何トンもさらっているような気がする」
- 「自分は今の自分のまま、少しも成長せずにひとりぼっちの生涯を終えるのかもしれない。それは混じり気なしの恐怖だった」
- 「こんなにちいさな星のうえに、ほんの一瞬だけ生きて、その一瞬の間に恋したり、結婚したり、子供を産み育てたりする。なんという面倒なことを、ひとりひとりの人間はまかされていることか」
- 「いろいろと迷っているうちに、だんだんと掛け金があがってきてしまった」
- 「もし運命の人がいなかったら、自分は一生こうしてひとり寝のままになる。それは果てしない暗闇の谷底に落ちていくような恐怖だった」
- 「けれど、自分の幸福は違う。心がけしだいで、どうにでもなるものだ。男たちがそれに気づいて、世界や社会より自分の幸福の追求に目覚めてくれたなら、きっとこの国の多くの女性がもっと幸せになることだろう」
そして、コンカツの虚しさと男女の埋められない差。
渇いたようでいて、ふとしたことで潤いを取り戻す感情を御すべきか、御さざるべきか。
- 「お見合いパーティって、誘えない男と待つだけの女で大繁盛している」
- 「なんだか、コンカツって心がざらざらになりますね」
- 「面倒のすべてが心ときめく手順になるのだから、恋の力は素晴らしかった」
- 「靴と男は最初からあったやつしか、買ったらダメなの」