Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

貧乏物語

100年前のビンボなお話かと思いきや、統計グラフや表など意外と知的だった。
労働者の最低限摂取カロリーから求めた貧乏線、貧乏船から定義した貧乏人。
「世界最富国の一たる大英国にも、肉体の健康を維持するだけの所得さえもち得ぬ貧乏人が、実に少なからずいる」
ことを示し、

一部の経済学者は、いわゆる物質的文明の進歩――富の増殖――のみをもって文明の尺度となすの傾きあれども、余はできうるだけ多数の人が道を聞くに至る事をもってのみ、真実の意味における文明の進歩と信じる。

今日の世の中には、いろいろむつかしい社会上の問題が起こっているけれども、その大部分は、われわれの目から見ると、社会の多数の人が貧乏しているために起こるのである。

と、貧乏根絶を企てる。恒産なくして恒心なし。
結論。

(1)現時の経済組織にして維持せらるる限り、
(2)また社会にはなはだしき富の懸隔を存する限り、
(3)しかしてまた、富者がその余裕あるに任せて、みだりに各種の奢侈ぜいたく品を購買し需要する限り、
貧乏を根絶することは到底望みがない。

→「富を有する者はいかにせば天下のためその富を最善に活用すべきかにつき、日夜苦心しなければならぬ」と持てる者の徳に期待。

倫理学の域外に脱出せしわが倫理学は、今やまさにかくのごとくにして自己犠牲の精神を高調することにより、その全体をささげて再び倫理学の王土内に帰入すべき時なることを。

結局これではアカンと気づき、後にマルクス主義に転向したみたい。
でも、この頃のひたむきさは大いに買いたい。

東西のエライ人の言葉を引用したり、挿話が多岐に渡ったりと、
「読者の倦怠を防ぐため」の飽きさせぬ努力が胸を打つ。
そしてロイド・ジョージべた褒め。