Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

高野豆腐店の春

映画 パンフレット 高野豆腐店の春

【概要】
著者(監督):三原光尋

「こうやどうふ」ではない。「東京物語」や尾道三部作に連なる、尾道を舞台にしたコメディ寄りヒューマンドラマ。尾道駅や商店街近辺の穏やかな情景や、気のいい地元ピーポーとのふれあい、つらい過去を抱きしめて未来に向かう決意など、このお店の豆腐のように良質で古き良き日本映画的な雰囲気を味わえた。もうちょっと話題になってくれてもよかったのだが…これからに期待だ。

やはり存在感があるのは頑固オヤジの父で、藤竜也のすごみが効いていた。一方で意外と茶目っ気があるのも人間味があってええ感じだ。私も自身の祖父を思い出したりしていた(存命)。娘の麻生久美子もこれまたええ感じで、パンフにもあったが、やはり父娘ふたりで夜の商店街を帰るシーンがいい感じだ。「おとうちゃん」とかね。ケンカのあとで父娘であることを再確認するところもよかったぞね。

 

【詳細】
<メモ>

  • 春はダブル、いやトリプルミーニングであり、春ちゃんの婚活的にも、おとうちゃんのガールフレンドづくりにも、季節的にも、春が来たもようだ。ちんちくりん、おめでとう。
  • 恋愛相談、婚活、スマホ導入などなどでコミカルなシーンが多いが、ぽろっとシリアスなシーンがあったりする。藤竜也の妻は原爆症で娘は連れ子であった過去が海岸べりで余白ありげに語られるが、それを不用意に当事者同士には語らせず、第三者経由で視聴者に知らせる。アンチ巨人のくだりと「カキのように堅い口」は観客にもウケていたゾ。
  • 大豆を搾って豆乳にして、撹拌しながらにがりを入れて、型に入れて冷やして凝固させ、固まったら取り出して切り分けて…といった町工場的な小規模の豆腐製造工程も勉強になったりする。
  • 尾道水道向島に向かうフェリー、浄土寺、商店街のピアノなどの情緒ある風景、登場人物の語尾や抑揚などにみられる尾道弁(広島弁より穏和なのがポイント)は憧憬を覚える人も多いのではなかろうか。「おなご」とかね。
  • 床屋でひつまぶしする商店街シニアズ、海岸で話すシニアやもめーズの空気感からもわかるように、基本的に客層はシニア。縮小する国内市場、グローバル化、製品の質の確保、事業承継、はっきりとは言わないが、高齢化が進んでいる現代の課題も感じられたりする。

 

news.yahoo.co.jp