【概要】
著者(監督):松下貢
正規分布、べき乗分布、対数正規分布の解説及び具体例を示したあと、それらの組み合わせで表される体重分布やGDP・人口のランキングプロットの例を紹介。
理論的な曲線とのずれは社会の不公平・不平等。統計分布から世界のゆがみが見えてくるのが面白い。それに対する是正勧告も忘れない。
【詳細】
<目次>
- 第1章 統計的に考えるとはどういうことか―大人の身長と正規分布
- 第2章 べき乗分布―地震の発生頻度を例にして
- 第3章 複雑系とランキングプロットの効用
- 第4章 複雑な系の歴史性とその統計―対数正規分布が現れる理由
- 第5章 現代社会に見られる対数正規分布の例
- 第6章 社会現象を統計的に読み解く―格差の現れ
<メモ>
- 正規分布:(身長)、ブラウン運動、工業製品の公差
- べき乗分布:地震のマグニチュード、単語の使用頻度、流氷・クレーター・隕石・小惑星のサイズ、ウェブの被リンク数
- 対数正規分布(二重含む):(身長)、体重、GDP・市長村人口・介護期間のランキングプロット
⇒標準偏差が平均値に比べ相対的に大⇒べき乗分布
〇対数正規分布は歴史性のある乗算過程(ln[AxBx...]=ln[A]+ln[B]+...)をよく表す数学モデル
⇒「注目する性質の統計が対数正規分布から外れるには、そのような変更をもたらす特別な理由がなければならない」
例)
・1965年のGDPランキングプロット⇒超大国アメリカのダントツぶり
・市町村人口のランキング上位ランキングプロット⇒大都市圏の異常な人口集中
・アメリカ・日本の個人所得ランキングプロット⇒上位者の累進課税不足、会社の間接税過剰
問題は、それぞれの国の独自性を認めつつ、なるべく平等な競争を追求することによって。ランキングプロットの右裾にべき乗の部分が現れたり("The rich get richer.")、左上の盛り上がりが起きたり(“The poor get poorer.")するようなあからさまな格差を生じさせることなく、世界全体として進歩・発展を実現するにはどうすればよいか、ということである。
株価の騰落率も謎のズレが発生するよね。
統計学の学習もやってみたら?