著者(監督):竹良 実
【概要】
ただ殺す。
無意味に、虫を殺すように。
奴らが母さんにしたように。
あいつらの命を 踏みにじってやる。
息が詰まるが面白い。言葉に重みのあるマンガは良い。
主人公の強メンタルに慄け。
【詳細】
<あらすぎるあらすじ>
仲間とアジトを探し、3年計画で総長暗殺を決意。
メイン武器はエラの観察眼と実行力、そして誰にも奪えない彼女たちの鋼の意志。
ゲロるかバレるかとヒヤヒヤしながら、痛めつけられながら、目的を果たし、ふたたび井戸でまみえる4人。
姿を消したエラはこれからも、人を踏みにじる奴らと闘い続ける。
<印象>
- 一見画が粗く残忍だが、硬派で読ませる力がある。意志の強さ、私も持ちたいと強く思った。
- 題材がシブい。食事や狩り、お勤めや労役など、細部に作り込みが感じられてよい。次回作にも期待。
- エラ、基本的に鋼メンタルだが、腕を落とすときには人間らしい弱さも見せるのがよかった。
- 5人共に活躍の場が与えられていて良かった。ヒルデはクラスチェンジしてたね、確実に。
<以下引用>
1-86
ただ殺す。
無意味に、虫を殺すように。
奴らが母さんにしたように。
あいつらの命を 踏みにじってやる。
1-201
黙っていたら心なんて、崖の上でも泥の中でも…
赤ん坊みたいに眠ってしまうもの。
だからこうして焼けた鉄を嚙ませてやる。
そうそう眠れやしないように。
そう すべては―――あの女を殺す日のため。
2-26
祈る者は眼を閉じる。
しかしその時、
考える者は目を開いているのだ。
2-52
エラは宝石だ。
賢さ 意志の強さ そして何より、考え続ける心の体力がある。
2-181
偽れ。欺け。
復讐心は鋼をも溶かす酸。
日毎に容れ物おのれを鍛える者だけが、
その水を運び事を成す。
3-34
虐げられてる人間のほうが、
虐げる人間よりもよほどタフなのよ。
3-185
たよりなく 何も照らせないまま、
ただ そこにある 星の光。
4-61
私たちは知っていく。
希望は、どんなに遠くを見渡しても見つからないこと。
なぜなら、それはいつも、
手の中から生まれるものだからということを。
4-186
神だか運命だか知らないけど、
そいつは私たちを殺し損ねた。
私に言わせりゃ腰抜けよ。
この世に あらゆる物理にも逆らい得るものがあるとすれば、
それはただひとつ、人間の意志である。
5-5
無言だけが、
沈黙だけがその夜、
私達の意志を守り抜く武器だった。
5-39
生きも凍るような夜、
星々の光はかそけく、
けれど確かに、雪の世界を照らし出している――
5-160
今ならわかる。理由なんてなかった。
人間は偶然生まれ、
生きた後に、意味ができる…
去年の仲間から引き継いだもの…
私は…確かにつないだわよ。
エラ…!!
6-59
知恵を、時間を、努力を、
薪にして私達は、命の火をつないで生きてきた。
神がいようといまいと 人を殺すことは、生きることと絶対的に矛盾する。
私はそれを知った。それでも、
無辜の人間を殺し、私はあの女を殺す。
6-112
望むところだ。
運命よ、お前に見せてやる。
私が私自身を燃やし尽くす炎の色を。
6-186
その残りはすべて、私の所業。
復讐とは受けた傷を返すこと。
ならばこれは復讐ではない。
私の意志で行使する、私自身の暴力だ。