著者(監督):S.S.ラージャウマリ
【概要】
インド風味の貴種流離譚。顔も濃ゆいが中身も濃い。恋もバッチ来い。
三代にわたる骨肉の争いを主軸に据えた叙事詩的構成ながらも、奇想天外なアクションパート、美女との目眩めくミュージカル風パート、『300』風の無双パート、現代受けする要素が香辛料の如く盛り込まれている。濃密な画面と高速の展開にインドの底知れぬ魔力を感じる。
【詳細】
<あらすぎるあらすじ>
①伝説誕生
貴種流離譚。濁流の中赤子をかかげる貴婦人。
命を賭けて守った乳飲み子はそこらへんの人に拾われシヴドゥと命名される。一瞬でオッさん化するシヴドゥ。
その展開速度はインド仕込み。
御神体運搬⇒サンドアート⇒仮面⇒美女追いかけてジャンプ・岩登り・ボルダリング⇒ターザン⇒バンジー⇒アーチェリー⇒大瀑布の頂上へ到達⇒女戦士アヴァンティカとの出逢い
場面は移りマヒシュマティ王国。この恨み晴らさでおくべきか。今日も小枝を集めるデーヴァセーナの怒り。
アヴァンティカに水遁の術しつつタトゥー入れるも気づかない。
樹上でもタトゥー再攻撃を行い、彼女の興味を惹く。
やがて彼女の前に姿を現し、追いかけっこしながらスタイリッシュ野球拳でめでたく結ばれる。
楽園でキャッキャウフフするも己の使命を思い出したアヴァさんはふたたび戦いの日々へ。
アヴァさんを連れシヴドゥはボブスレーしつつ麓に帰還。
まずは偵察がてら王国に乗り込み母のデーヴァを救出。
簒奪された王国。明かされる過去。
追っ手の王子を討ち取り反撃の狼煙を挙げる。
ここでシヴドゥ、偉大な王の息子だったことが判明。祭り上げられる。
雷雨の中カッタッパ!のスライディング拝跪で回想に入る。
ひと世代前、シヴドゥパパは兄弟で無双していた。現国王はおじだった。
英明の誉れ高かったシヴドゥパパ・バーフバリは何者かの裏切りにより命を落とした。
カッタッパ! の「裏切ったのは…私だ」
②王の凱旋
濃すぎるあらすじで①を観ていなくても安心。
基本的には父・バーフバリのお話。
最初から飛ばし過ぎてて書ききれない。
弱いふりしてデーヴァセーナのもとに⇒バラーラデーヴァ横恋慕⇒嫁入りお断り⇒隣国の奇襲⇒矢の6本撃ちで撃退⇒飛行船でミュージカル・天空のダンス⇒タイタニック⇒国母シヴァガミにケンカ売る「首だ!」⇒妻を選んで王宮を去る。
バーフ夫妻、市井に生きようとするもカッタッパにバーフ殺害せよとの大命下る。やってしまった後、オカンは懺悔。
長い過去話が終了し、①のOPにつながる。
もう国王に復讐するための伏線は回収した。殺るしかない。
人間大砲による王城侵入、チュッパチャップス使いの兄もとい伯父との戦いを経て、王を焼く。小枝の伏線が生きる。
悪政の遺物たる金首滝下りの後、あっさりEND。
<印象>
- 叙事詩・恋物語・英雄譚ストーリーは王道だが世代がまたがるため人間関係がちょっと複雑になるところ、ハリウッドに慣れた目にはCGが粗く見えるところがちょっと気になるか(水、チョウチョ、蛇、鳩、ロープ、構造物、ジャンプ動作など)。
- でも本気で作ってる感がすばらしい。やりたいことやったもん勝ち。
- 過剰なまでのSEとスローモーションが多用される。
- 王道と覇道、持つ者と持たざる者の相違を感じさせられる。
- 蛮族との戦いで出た回転翼付き戦車と大カーテンの智謀、人間大砲にはビックリ。
- インド料理店で流れているようなIーPOPが常に聞こえ、インドの沃野を身近に感じられる。
- ②は劇場で見たのだが(シネマクレール岡山)、小規模な劇場で観客が70人くらいいたのにはビックリ。関心の高さがうかがえる。