Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

僕だけがいない街

著者:三部けい
評価:B+

【評】
北海道でループなサスペンス勃発。世界改変系(記憶持ち越し)。
再上映(リバイバル)なる時空転移要素が受け入れられれば、特別問題なく読み進められるだろう。

アイリが「僕だけがいない街」の始発駅にして終着駅。
自分を信じてくれたアイリを信じて、
目の前の事に、全力で踏み込む。

ただひとつ記憶を武器に立ち向かい、
18年越しの未清算の過去に決着をつけた悟君。
母を、友を救った悟君。
自分を信じるアイリのお蔭で、人を信じる強さを知った悟君。

そして迎えた大団円。掴み取った幸せ。
おぉ…感慨無量。

私たちは、再上映能力は持っていないけれど、
「あの時こうしていれば」「もっと本気で向き合っていれば」、
そんな後悔をなくすことはできる。
いま、やれることをやろう。
目の前の事に、全力で踏み込もう。

僕を支えてるのは 大切な仲間たちがくれた たくさんの言葉だ
救われて 励まされて 背中を押されて
前に進む事でしか道は開けないと 教えてくれた

――未来は常に白紙だ
自分の意志だけが
そこに足跡を刻める

ママのモノローグかと思わせといて先生のモノローグだったときは正直、シビれた。

<9巻>
群像劇で本編を補完。本編のなかに立体的に位置を占め、厚みを増していく登場人物たち。
雛月やケンヤ、悟ママのそれぞれの「踏み込む」物語。
登場人物や巻末マンガの言葉に重みがあるのはじつに素晴らしい。