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【評】
『中論』『唯識三十頌』『菩提行経』について取り上げる。
東洋哲学の成果を味わえ。
『中論』
竜樹の説いた空の思想、中観、永遠の今、本質の否定などについて。
空である場処に因縁が集まり、我々は有を見る。
その縁起の理を見ることが如来にまみえることなのだ。
ナーガールジュナ以前の仏教者は、私たちは迷いの生活のうちにあり、悩みがあり、理想の世界、ニルヴァーナは彼方の境地にあると対立させて考えていたのですが、中観派によると、そのような対立はありえないというのです。
『唯識三十頌』
これら三種の識(阿頼耶識、末那識、眼・耳・鼻・舌・身・意識)が展開することによって現象世界のいろいろのものが何でも成立していると説くのです。
十七、是の諸々の識が転変して分別たり、所分別たり。
此れに由って彼は皆な無し。故に一切は唯識のみなり。
〔修行者の〕識がまだ<唯だ識のみなること>のうちに安住しない限りは、〔認識主体と認識される客体との〕二種の執着の潜在的勢力が存するのであって、その潜在的勢力が静まり滅びることはない。
それこそ、汚れのない根源の境地であり、不可思議であり、善であり、確固不動であり、安楽であり、解脱をその身体としているのである。
『菩提行経』
等しく妙なる菩提心を修持せよ。
奉仕の行を強調する。