徹底図解 零戦のしくみ―日本航空史に燦然と輝く名機の栄光と悲しき末期 [単行本]
著者：矢吹明紀、嶋田康宏、市ヶ谷ハジメ
評価：B
『徹底図解シリーズ ○○のしくみ』の零式艦上戦闘機、通称零戦版。実写と遜色ないまでに進歩したCG技術の素晴らしさを身に染みて感じる。表紙の搭乗員の服装が当時の飛行服だったら、そして搭乗員のイラストがもっとイカしてたらA評価だったのに。誠に惜しい。
機体のサイズや装備、航続距離などのスペックや、その構造および運用、さらには航空機の発展や太平洋戦争のおさらい、エースの紹介など、零戦のみならず20世紀前半の航空機に関する情報はほぼ網羅されていると思われる。
各国の戦闘機との性能比較など、色眼鏡なしに零戦を見つめているのが好印象。「徹底図解」の名はダテじゃない。ページ毎の豆知識にも大いに満足した。当時多くの青少年たちが飛行機乗りを志願したのもむべなることである。
櫻花のごときこの戦闘機が今もなお日本人の心を惹きつけて止まぬ理由を知りたくはないか？
“一時的であったにせよ世界一という経験は貴重であり、その後の凋落もまた、貴重な経験のはずだ。
我々が零戦について学び、考えることは、そんな過程を追体験するということだ。そして零戦は、現在でも私たちに大いなる恍惚と苦悩を与えてくれるのだ”
