百年前の日本語――書きことばが揺れた時代
百年前の日本語――書きことばが揺れた時代 (岩波新書) [新書]
著者:今野真二
評価:C
百年前の日本語は、「書きことば」、「文字化された日本語」が大きな揺動の中にあった。この「揺動」とは、不安定な状態を指すのではなく、むしろ「豊富な選択肢があった」ということなのだと筆者は述べる。
漢語と和語の境界の希薄化、外来語の輸入や異体仮名の衰亡など、夏目漱石を筆頭にして、まあよく引っ張り出してきたなと思われるほどの膨大な例とともに明治期の日本語の搖動が語られる。
しかしながら全体的に、やや学術的に過ぎているきらいがあり、ともすれば退屈な印象を持つ読者は多かろう。
玄人向け。