【概要】
著者（監督）：A.サリバン 訳：遠山啓序、槇恭子
「この人を見よ。ここにすばらしい二人の人がいる」（はしがき）
ヘレン・ケラーの伴侶・サリバン先生の手紙や教育レポートを集めたもの。母親がわりのホプキンス夫人宛ての手紙が多い。新人教師が格闘・苦闘の末に掴んだ光とやりがい、教え子への愛情が感動的に語られている。
「私が階段に足をかけるかかけないうちに、ヘレンは私のほうに突進してきました」
「大きくて丈夫そうで血色もよく、子馬のようにたえず動いて、じっとしていることはありません。顔つきは知的ですが、でも、動き、あるいは魂みたいなものが欠けています」
獣のごときすさまじい食事の作法を目の当たりにした後は、家族の甘やかしによる増長を矯正すべく、離れの一軒家での合宿を敢行する（つねられたら平手打ちで反撃）。一緒のベッドに寝てくれるまで2時間の格闘をした日も。
伝説の"water"の翌日以降は、まさに奇跡ラッシュ。
彼女は自分から私の腕の中にすべり込んできて、はじめて私にキスしたのです。私の心ははりさけるようでした。それほど喜びであふれていました。
今朝、私の心はうれしさで高鳴っています。奇跡が起こったのです！ 知性の光が私の小さな生徒の心を照らしました。見てください。すべてが変わりました。
二週間前の小さな野生動物は、やさしい子供に変わりました。
あなたは、彼女が非常に賢いことがきっとおわかりになるでしょう。でも、彼女がどんなに可愛いかはおわかりにならないでしょう。
☝これすき
その後は彼女とサーカス、雪合戦、クリスマスなどのアクティビティを楽しむ。
ヘレン・ケラーの能力を解放した名伯楽サリバン先生。20歳そこそこの女性が僅か数週間で圧倒的成果を見せると家族から「天のお恵み」と超絶感謝される。自分の能力に不十分さを感じながらも、「毎日毎日仕事がおもしろくなってきて、私は夢中になっています」と創造的な天職を発見する。
【詳細】
＜メモ＞
私が教えることができる二つの本質的なこと、すなわち、服従と愛とを彼女が学ぶまでには、この小さな女性と今日のような取っ組み合いのけんかを何回もやることでしょう。
この小さな野生児は、服従という最初の教訓を学び、そして、拘束が楽なものだと気づきました。今や、この子どもの心の中で動き始めている美しい知性を方向づけ、形づくることが、私の楽しい仕事となりました。
ヘレンの心の急速な成長は、見るだけでも美しいものです。未だかつてどんな教師もこれほど夢中になって仕事をしたことはないだろうと思います。私は幸運な星の下に生まれたにちがいありません。今まさにその慈悲深い力を感じ始めています。
曰く、
- 「失敗を通して学べ」
- 「できるかぎり彼女にわかりやすいように、しかも真実を答えることを実行」する
- 「子どもの注意を個々の単語や文章に向けさせ」すぎず、全体を把握させる
- 「たとえわからなくても、何度もくり返しくり返し教える」
- 「きめられた時間より、折りにふれて彼女に物事を教える方」☜好奇心ドリブン
これは、ヘレン以外の子どもや大人にも適用できそう。手や唇、心拍・空気や筋肉の振動などから認識する能力の高さについてもたびたび触れている。
