【概要】
著者(監督):上村勝彦 訳
『マハーバーラタ』の一部。
アルジュナさんが戦いを放棄し、この世の真実を知り、また戦場に赴くまで。
基本的には古代インド的な覚者像が描かれているよ。
【詳細】
2
あなたの職務は行為そのものにある。決してその結果にはない。行為の結果を動機としてはいけない。 また無為に執着してはならぬ。
アルジュナよ、執着を捨て、成功と不成功を平等(同一)のものと見て、ヨーガに立脚して諸々の行為をせよ。ヨーガは平等の境地であると言われる。
4
聖バガヴァッド
「知識の剣により、無知から生じた、自己の心にある疑惑を断ち、〔行為の〕ヨーガに依拠せよ。立ち上れ、アルジュナ」
5
憎むことなく、期待することのない人は、常に放擲した者と知らるべきである。実に、相対を離れた人は、容易に束縛から解放される。
6
自ら自己を高めるべきである。自己を沈めてはならぬ。実に自己こそ自己の友である。自己こそ自己の敵である。
11
千回あなたに敬礼、敬礼。更に再び敬礼、敬礼。
14
万物の個別の状態は唯一者のうちに存し、まさにそれから多様に展開すると見る時、その人はブラフマンに達する。
16
不殺生、真実、怒らぬこと、捨離、寂静、中傷しないこと、生類に対する憐感、貪欲でないこと、温和、廉恥、落着き、威光、忍耐、堅固(充足)、清浄、敵意のないこと、高慢でないこと。以上は神的な資質に生まれた者に属する。
欲望、怒り、貪欲。これは自己を破滅させる、三種の地獄の門である。それ故、この三つを捨てるべきである。
解説
多くの古代インドの宗教書は、社会人たることを放棄しなければ、解脱することは不可能であると主張する。それに対し『ギーター』は、自己の義務を果たしつつ窮極の境地に達することが可能であると説く。それどころか、社会人は決して定められた行為を捨てるべきではないと強調するのである。
『ギーター』において説かれる、「最高の秘密であるヨーガ」は、平等の境地であり、ブラフマンとの合一であり、また、その境地に帰結する「放擲のヨーガ」である。