【概要】
著者(監督):子安美知子
著者夫妻のドイツ留学時に娘が受けたシュタイナー学校での教育についてエッセイ風に紹介する。文学研究者だけあって素朴ながら心に沁み入るような文章を書く。異国の慣れない環境に娘が徐々に順応していくさまには、著者ともどもやきもきさせられた。
【詳細】
シュタイナー教育、その特徴は…
・エポック授業…学科ごとに短期集中で教育
・クラス担任は8年間もちあがり
・点数のつかない通信簿…成績よりも変化を記述
その教育法は五感に訴える芸術的なもの。フォルメンに代表される数、言語、絵、図形、色彩、音の有機的な関連。クレヨンフミちゃんここにあり。
著者曰く、「色と光とメロディーと響きと動きのシンフォニー」「つめこみの練習にならないよう、たえずあらゆる感覚を動員し、情操と結びつけたもの」。
主人公はもちろん娘・フミ。家や授業外では喋れるけど、教室では喋れない。←わかる
「教室ではまだ無言の行をつづけていた」彼女が
ヴルフ先生のファインプレーで、
「きょう、うるさくしすぎて、ヘル・ヴルフからしかられちゃった」
と言うまでに変身したときは著者だけでなく読者もほっとするに違いない。
なおフミも中公新書で著作をものしている模様。
後発先進国である日独の教育の違い。インターナショナルスクールや進学校でもこんな教育はしてないのだろうな。学ぶことはもっと自由であっていいはず。教育とはどうあるべきか考え続けたい(まあどの学校に行くにしろ、学ぶ手本を親が見せないとダメなんだけどね)。
ちなみにシュタイナー学校、まだあるっぽい。
友達を家に招いたときやヨーロッパ各国を旅したときの描写が印象的だった。こんな文章を書けるようになりたい。